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ホログラフィック撮像装置および同装置に用いるデータ処理方法 NEW 新技術説明会

国内特許コード P200017280
整理番号 (S2017-1039-N0)
掲載日 2020年11月4日
出願番号 特願2019-539100
出願日 平成30年7月31日(2018.7.31)
国際出願番号 JP2018028725
国際公開番号 WO2019044336
国際出願日 平成30年7月31日(2018.7.31)
国際公開日 平成31年3月7日(2019.3.7)
優先権データ
  • 特願2017-166256 (2017.8.30) JP
発明者
  • 佐藤 邦弘
出願人
  • 公立大学法人兵庫県立大学
発明の名称 ホログラフィック撮像装置および同装置に用いるデータ処理方法 NEW 新技術説明会
発明の概要 本発明は、透過型と反射型のいずれも実現でき、長作動距離広視野または超高分解能を実現できるホログラフィック撮像装置および同装置に用いるデータ処理方法を提供する。入射方向θを変えた平行光照明光Qによって順次照明した物体からの物体光Oをオフアクシス球面波参照光Rによって入射方向毎の複数の物体光ホログラムIORに記録する。物体光Oに対してインラインとなるインライン球面波参照光Lによって参照光Rを参照光ホログラムILRに記録する。各ホログラムILR,IORを用いて、入射方向毎に物体位置における物体光波ホログラムh(x,y)と、その空間周波数スペクトルH(u,v)を生成する。各スペクトルH(u,v)を重なり領域で整合させてより広い周波数空間を占有する合成スペクトルH(u,v)を生成し、開口数の増大した合成物体光波ホログラムh(x,y)を得る。
従来技術、競合技術の概要

従来から、反射光や透過光などの光波を解析する技術に、光の強度と位相のデータを併せてホログラムと呼ばれる写真乾板などの記録媒体に記録して解析するホログラフィがある。近年のホログラフィは、受光素子と半導体メモリなどを用いて、光波の強度と位相をデジタルデータとして取得したり、計算機上でホログラムを生成したりして、解析することが行われている。このようなホログラフィは、デジタルホログラフィと呼ばれる。

デジタルホログラフィにおいて、ホログラムデータの取得や処理の高速化と高精度化を達成するための種々の技術が提案され、撮像に応用されている。例えば、ワンショットで取得したホログラムデータに空間周波数フィルタリングと空間ヘテロダイン変調とを適用して、物体像再生用の複素振幅インラインホログラムを高速かつ正確に生成するデジタルホログラフィが知られている(例えば、特許文献1参照)。

従来の光学顕微鏡の問題を解決するために、ホログラフィを用いて結像レンズを用いることなく大開口数の物体光を正確にワンショット取得する方法、および物体光を平面波展開して高分解能3次元像を正確に計算機再生する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば、無歪な高分解能3次元動画像を取得し再生できるレンズレス3次元顕微鏡が実現される。このような顕微鏡は、結像レンズを用いないので、従来の光学顕微鏡が有する、媒質や結像レンズの影響を受ける問題を解決できる。

また、培養液中細胞や生体組織の内部構造を高分解能で計測するために、反射型レンズレスホログラフィック顕微鏡と波長掃引レーザ光を用いる高分解能断層撮像法が知られている(例えば、特許文献3参照)。

さらに、入射方向の異なる光を照射した物体から放射される大開口数の物体光を入射方向毎に複数のホログラムデータとして取得し、これらのデータを用いて複数の大開口数物体光を合成して1を超える合成開口数のもとで物体光を再生する方法が知られている(例えば、特許文献4参照)。この方法によれば、回折限界を超える分解能を持つ超高分解能3次元顕微鏡が実現できる。

また、照明光とオフアクシス参照光の光路差を少なくして光路中のノイズをコモンノイズに限定するため、光路中にピンホールから成る空間フィルタを配置した光学系を有する透過型のホログラフィック顕微鏡が知られている(例えば、特許文献5参照)。

また、撮像用のCCDをホログラム面に沿って移動して複数位置で得たホログラムを合成して開口数を大きくすることにより分解能を上げることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。

また、斜め入射照明光の下で試料を回転させて得た多数のホログラムを空間周波数空間において互いの重なり部分を接続して合成し、単一ホログラムによる開口数の25倍となる合成開口数0.93を得たホログラフィック顕微鏡が知られている(例えば、非特許文献2参照)。

産業上の利用分野

本発明は、デジタルホログラフィに関し、分解能の向上を図るホログラフィック撮像装置および同装置に用いるデータ処理方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
照明光(Q)で照明された物体から放たれる物体光(O)のホログラムを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得されたホログラムから前記物体の画像を再生する画像再生部と、を備え、
前記データ取得部は、
光源が放射するコヒーレント光から前記照明光(Q)、前記物体光(O)に対してインラインとなるインライン球面波参照光(L)、および前記物体光(O)に対してオフアクシスとなるオフアクシス球面波参照光(R)を生成し、これらの光と、前記物体光(O)とを伝播させ、さらに前記物体に対する前記照明光(Q)の入射方向を変える光学系と、
光強度を電気信号に変換して出力する受光素子と、
前記光学系を用いて互いに入射方向(θ,j=1,・・,N)が異なる平行光となるように前記照明光(Q,j=1,・・,N)を生成し、前記平行光である照明光(Q,j=1,・・,N)で前記物体を照明することにより放射される前記物体光(O,j=1,・・,N)と前記オフアクシス球面波参照光(R)との干渉縞のオフアクシスホログラムである前記各入射方向毎の物体光ホログラム(IOR,j=1,・・,N)のデータ、および前記インライン球面波参照光(L)と前記オフアクシス球面波参照光(R)との干渉縞のオフアクシスホログラムである参照光ホログラム(ILR)のデータを前記受光素子を介してそれぞれ取得して保存する保存部と、を備え、
前記画像再生部は、
前記参照光ホログラム(ILR)と前記物体光ホログラム(IOR,j=1,・・,N)のデータを用いて、前記各入射方向(θ,j=1,・・,N)毎に前記物体光(O,j=1,・・,N)の光波を表す物体光波ホログラム(h(x,y),j=1,・・,N)を前記物体の位置(z=z)において生成する光波生成部と、
前記物体光波ホログラム(h(x,y),j=1,・・,N)の各々をフーリエ変換して物体光空間周波数スペクトル(H(u,v),j=1,・・,N)をそれぞれ生成するスペクトル生成部と、
前記物体光空間周波数スペクトル(H(u,v),j=1,・・,N)の各々を、相互相関関数の計算に基づき、空間周波数空間(u,v)の2次元空間において互いに振幅および位相の変化が共通する領域が重なるように移動して配置し、かつ、前記重なり領域を形成する前記物体光空間周波数スペクトル(H(u,v),j=1,・・,N)の相互の振幅と位相を補正するための補正係数(aαβ,α≠β,α,β=1,・・,N)を求めて前記補正係数(aαβ)を用いて前記重なり領域において整合させ、より広い周波数空間を占有するように拡大された合成物体光空間周波数スペクトル(H(u,v))を生成するスペクトル合成部と、を備え、
前記スペクトル合成部によって生成された前記合成物体光空間周波数スペクトル(H(u,v))を逆フーリエ変換して、前記物体の画像の再生に用いられる合成物体光波ホログラム(h(x,y))を生成する、ことを特徴とするホログラフィック撮像装置。

【請求項2】
前記光学系は、前記物体光(O,j=1,・・,N)に対する前記受光素子の開口数(NA)がゼロに近い値となる構成とされ、多数枚の前記物体光ホログラム(IOR,j=1,・・,N)のデータを用いて前記合成物体光空間周波数スペクトル(H(u,v))を生成することにより前記合成物体光空間周波数スペクトル(H(u,v))によって定まる合成開口数が1に近づく、ことを特徴とする請求項1に記載のホログラフィック撮像装置。

【請求項3】
前記光学系は、前記物体光(O,j=1,・・,N)に対する前記受光素子の開口数(NA)が1に近い値となる構成とされ、前記合成物体光空間周波数スペクトル(H(u,v))によって定まる合成開口数が1を超える、ことを特徴とする請求項1に記載のホログラフィック撮像装置。

【請求項4】
前記ホログラフィック撮像装置が反射型の顕微鏡として用いられる場合に、
前記受光素子と前記物体との間であって前記物体の前記照明光(Q)によって照明される表面に近い位置に微小球面体を備え、
前記微小球面体の球面からの反射光が前記オフアクシス球面波参照光(R)として用いられる、ことを特徴とする請求項3に記載のホログラフィック撮像装置。

【請求項5】
前記ホログラフィック撮像装置が透過型の顕微鏡として用いられる場合に、
前記受光素子の手前に配置される前記物体のさらに手前に、前記物体の前記照明光(Q)によって照明される表面の位置に焦点を有するように配置された集光レンズを備え、
前記インライン球面波参照光(L)は、前記物体がない状態で前記集光レンズを通して生成され、
前記オフアクシス球面波参照光(R)は、前記集光レンズに光軸を傾けて入射した平行光が、前記物体の前記照明光(Q)によって照明される表面に近い位置に集光するように生成される、ことを特徴とする請求項3に記載のホログラフィック撮像装置。

【請求項6】
前記光学系は、
シャッタを持つ円形の中心開口と偏芯位置に設けられた偏芯開口とを有し、前記受光素子の中心に向かう光学的な中心軸を中心としてコーン状に広がる光を受けて、前記中心軸の回りに間欠的に回転することにより前記コーン状に広がる光を前記照明光(Q)とするために振り分ける回転板と、
前記回転板によって振り分けられた光の各々を平行光にする複数のレンズを前記中心軸の回りに配置して有するレンズ組体と、
前記レンズ組体からの前記平行光の各々が前記中心軸上の一点を通過するように前記平行光の向きを変えるプリズムまたは回折格子を有する偏向素子組体と、を備えて前記物体に対する前記照明光(Q)の入射方向を変える角度変更部を構成する、ことを特徴とする請求項2に記載のホログラフィック撮像装置。

【請求項7】
前記光学系は、
シャッタを持つ円形の中心開口と偏芯位置に設けられた偏芯開口とを有し、前記受光素子の中心に向かう光学的な中心軸を中心としてコーン状に広がる光を受けて、前記中心軸の回りに間欠的に回転することにより前記コーン状に広がる光を前記照明光(Q)とするために振り分ける回転板と、
前記回転板によって振り分けられた光の各々を平行光にする複数のレンズを前記中心軸の回りに配置して有するレンズ組体と、
前記レンズ組体からの前記平行光の各々が前記中心軸上の一点を通過するように前記平行光の向きを変える反射鏡を有する反射鏡組体と、を備えて前記物体に対する前記照明光(Q)の入射方向を変える角度変更部を構成する、ことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載のホログラフィック撮像装置。

【請求項8】
ホログラフィック撮像装置に用いるデータ処理方法であって、
物体に対する入射方向(θ,j=1,・・,N)を変えた平行光からなる照明光(Q,j=1,・・,N)によって前記物体を順次照明し、前記物体から放射される物体光(O,j=1,・・,N)と前記物体光(O,j=1,・・,N)に対してオフアクシスとなるオフアクシス球面波参照光(R)との干渉縞のオフアクシスホログラムである、前記各入射方向毎の複数の物体光ホログラム(IOR,j=1,・・,N)のデータを取得し、
前記物体光(O,j=1,・・,N)に対してインラインとなるインライン球面波参照光(L)と前記オフアクシス球面波参照光(R)との干渉縞のオフアクシスホログラムである参照光ホログラム(ILR)のデータを取得し、
前記参照光ホログラム(ILR)と前記物体光ホログラム(IOR,j=1,・・,N)のデータを用いて、前記各入射方向毎に、前記物体の位置(z=z)における前記物体光(O,j=1,・・,N)の光波を表す物体光波ホログラム(h(x,y),j=1,・・,N)を生成し、
前記物体光波ホログラム(h(x,y),j=1,・・,N)の各々をフーリエ変換して物体光空間周波数スペクトル(H(u,v),j=1,・・,N)を生成し、
前記物体光空間周波数スペクトル(H(u,v),j=1,・・,N)の各々を、相互相関関数の計算に基づき、空間周波数空間(u,v)の2次元空間において互いに振幅および位相の変化が共通する領域が重なるように移動して配置し、かつ、前記重なり領域を形成する前記物体光空間周波数スペクトル(H(u,v),j=1,・・,N)の相互の振幅と位相を補正するための補正係数(aαβ,α≠β,α,β=1,・・,N)を求めて前記補正係数(aαβ)を用いて前記重なり領域において整合させ、より広い周波数空間を占有するように拡大された合成物体光空間周波数スペクトル(H(u,v))を生成し、
前記合成物体光空間周波数スペクトル(H(u,v))を逆フーリエ変換して、前記物体の画像の再生に用いられる合成物体光波ホログラム(h(x,y))を生成する、ことを特徴とするデータ処理方法。

【請求項9】
前記補正係数(aαβ,α≠β,α,β=1,・・,N)は、互いに前記重なり領域を形成する前記物体光空間周波数スペクトル(H(u,v),j=1,・・,N)の2つから成る対スペクトル(Hα,Hβ,α≠β)において、前記重なり領域に含まれる各点(u,v)における互いのスペクトル値の比の平均値として求められ、前記対スペクトル(Hα,Hβ)の一方が各点の振幅値と位相値を補正されて他方に整合される、ことを特徴とする請求項8に記載のデータ処理方法。

【請求項10】
前記物体光ホログラム(IOR,j=1,・・,N)のうち、前記照明光(Q,j=1,・・,N)の何れかである特定照明光(Q)の情報を含む特定物体光ホログラム(IOR)と前記参照光ホログラム(ILR)とを用いて、前記物体の位置(z=z)における、前記特定照明光(Q)の光波を表す照明光波ホログラム(d(x,y))を生成し、
前記照明光波ホログラム(d(x,y))を用いて前記特定照明光(Q)についての照明光波位相成分(ξ(x,y)=d(x,y)/|d(x,y)|)を算出し、
前記合成物体光波ホログラム(h(x,y))を前記照明光波位相成分(ξ(x、y))で割り算して位相を調整した合成物体光波ホログラム(h(x,y)/ξ(x,y))を生成する、ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載のデータ処理方法。

【請求項11】
前記物体を正面から非平行光である正面照明光(Q)によって照明することにより放射される物体光(O)、前記正面照明光(Q)、および前記オフアクシス球面波参照光(R)の干渉縞のオフアクシスホログラムである正面照明物体光ホログラム(IOR)のデータを取得し、
前記参照光ホログラム(ILR)と前記正面照明物体光ホログラム(IOR)のデータを用いて、前記物体の位置(z=z)における、前記正面照明による物体光(O)の光波を表す正面照明物体光波ホログラム(h(x,y))と前記正面照明光(Q)の光波を表す照明光波ホログラム(d(x,y))とを生成し、
前記照明光波ホログラム(d(x,y))を用いて前記正面照明光(Q)についての照明光波位相成分(ξ(x,y)=d(x,y)/|d(x,y)|)を算出し、
前記正面照明物体光波ホログラム(h(x,y))を前記照明光波位相成分(ξ(x,y))で割り算して位相を調整した正面照明物体光波ホログラム(h(x,y)/ξ(x,y))を生成し、
前記正面照明物体光波ホログラム(h(x,y)/ξ(x,y))をフーリエ変換して前記正面照明による物体光(O)の物体光空間周波数スペクトル(H(u,v))を生成し、
前記正面照明による物体光空間周波数スペクトル(H(u,v))を基準にして、相互相関関数の計算に基づき前記複数の物体光空間周波数スペクトル(H(u,v),j=1,・・,N)を順次配置し、前記合成物体光空間周波数スペクトル(H(u,v))を生成する、ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載のデータ処理方法。

【請求項12】
前記物体の位置(z=z)における前記物体光空間周波数スペクトル(H(u,v),j=1,・・,N)を任意の位置(z=z)における物体光空間周波数スペクトル(H(u,v),j=1,・・,N)とした上で、前記物体の位置(z=z)において前記物体光空間周波数スペクトル(H(u,v),j=1,・・,N)の各々を移動して前記補正係数(aαβ)による補正をして整合させた処理と同じ処理を適用して、前記任意の位置(z=z)における合成物体光空間周波数スペクトル(HTa(u,v))を生成し、
前記任意の位置(z=z)における合成物体光空間周波数スペクトル(HTa(u,v))を逆フーリエ変換して前記任意の位置(z=z)における合成物体光波ホログラム(hTa(x,y)=F-1(HTa(u,v))を生成する、ことを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載のデータ処理方法。

【請求項13】
前記物体光ホログラム(IOR,j=1,・・,N)のデータの取得は、前記物体の前方または透光性の前記物体の後方に標識パターンを配置して行い、
前記相互相関関数の計算は、前記標識パターンに対応する空間周波数スペクトルに基づいて行う、ことを特徴とする請求項8乃至請求項12のいずれか一項に記載のデータ処理方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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