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光導波装置、光電変換装置、建築物、電子機器、移動体および電磁波導波装置

国内特許コード P200017311
整理番号 (S2017-1047-N0)
掲載日 2020年12月2日
出願番号 特願2019-543728
出願日 平成30年9月21日(2018.9.21)
国際出願番号 JP2018035015
国際公開番号 WO2019059342
国際出願日 平成30年9月21日(2018.9.21)
国際公開日 平成31年3月28日(2019.3.28)
優先権データ
  • 特願2017-181884 (2017.9.22) JP
発明者
  • 石橋 晃
出願人
  • 国立大学法人北海道大学
発明の名称 光導波装置、光電変換装置、建築物、電子機器、移動体および電磁波導波装置
発明の概要 光導波装置は、導波コア層(13)とこれを不連続に被覆するクラッド層とを有する。クラッド層は、導波コア層を被覆していない断絶部の端部と、断絶部に対して導波コア層の導波方向と反対側でかつ導波コア層から離れた位置との間に延在し、導波コア層の導波方向に向かって導波コア層に次第に近づき、かつ断絶部の端部における接線が導波コア層に平行またはほぼ平行になるように設けられた構造(12)をその一部に有する。クラッド層の断絶部にクラッド層(12)で被覆された光導入コア層14が導波コア層と合流するように設けられる。
従来技術、競合技術の概要

導波路(waveguide)とは、一般に、波動を一定領域に閉じ込めて伝送する回路または線路であり、物理的な境界によって決められる方向に電磁波を閉じ込め、指向するために設計されたシステムや材料と定義される。従来、電磁波、中でも光を途中で損失を生じることなく長距離を導波する構造体として、光ファイバーや2次元導波路(スラブ型光導波路)がよく知られている。通常、光を内部に閉じ込めて伝送するために、導波路は連続的併進対称性を持つ。また、屈折率小の部分、即ちクラッド層に囲まれ、屈折率大の部分、即ちコア層は、上面に凹凸や片流れの厚み変化を持つものもあるが、その断面は単純な閉曲面である。即ち、断面の面積をS、当該面積を定義する外周長をLとすると、断面の面積Sは、効率的に、即ち、比較的短いLにより、囲まれている。S~cL2 で与えられるが、1/cは12~50(12は円の場合、50は扁平な楔状構造の場合に相当)など10のオーダーの量である(例えば、特許文献1参照。)。

また、従来より平面基板を用いて、複数の光をまとめ、またその光を分ける光合波・分波器が開発されているが、これは光集積回路においてであり、その光合波(集光)・分波は、損失を少なくするために数mmに亘り、極めてまばらに、約34mmで4回程度行われるに過ぎない(非特許文献1参照。)。従来系では、この集光プロセスの生じている正味の距離は、基本的に短距離であり(その方が、将来的には集積度も上がる)、光の合波を稠密に長距離(数cmから数十m)に亘って行うシステムは存在しなかった。また情報処理が目標なので、光の存在域も線状である。

既存の太陽電池としては、バルクシリコン、薄膜シリコン、CISを含め、面入射型が大多数であるが、材料が面積に比例して多く必要である。これに対し、スラブ型光導波路の一辺に太陽電池を配置したエッジ利用型太陽電池(特許文献2、3参照。)は、一辺の長さに比例して増えるのみなので、材料が少量で済むが、光のマニピュレーションが課題である。即ち、3次元光を2次元光化する必要があり、導波距離を十分稼ぐ必要もある。

近年、太陽光発電の効率を高めるため、特に、集光系として系を構成するために、ルミネセントソーラーコンセントレーター(Luminescent Solar Concentrator,LSC)(非特許文献2参照。)が注目を集めている。その中に、上記の2次元導波路が重要な構成要素として含まれている。しかしその実態は、従来すべて、連続的併進対称性を持つ左右対称導波路を暗黙の前提としている。

従来の導波路は、光導波方向についてその順方向と逆方向に関して、対称構造を持っており、また基本的に光を導波するコア層をクラッド層で連続的に挟み・包んだ構造により、光の漏れを防ぎ、閉じ込めを行っていた。このため、光を外から導波路コア層に導入するのが極めて難しかった。光の導波効率を下げたくないので、そもそも想定されていなかったと言える。かかる状況下では、従来型導波路を集光型太陽電池や光電変換素子と結合する場合、光を効率的に集光するに際し非常に大きな困難が伴っていた。即ち、ルミネセントソーラーコンセントレーターに入射した光には出戻る成分もあるため、全反射にならない。ルミネセントソーラーコンセントレーターには色素や量子ドットが使用されるが色素や量子ドットで太陽光を全吸収できるわけではない(抜ける成分がある)。また、色素による光の再吸収があり、また色素の寿命が長くない。さらに、ルミネセントソーラーコンセントレーターに光を閉じ込めきりにするのが難しく、発光は基本的に等方的であるため、全反射条件を満たさない光は空間に出戻るものもある(非特許文献3参照。)。その結果として、太陽電池における光電変換効率を高くできていない。

また、液晶などの屈折率異方性を有する層をクラッド層として用いる提案もなされているが、偏光の一部しか利用できないため、効率の最大化には限界が出現するか、あるいは、これを回避するために、同等の構造をもう一組用意する必要があるなど、構造の複雑化の問題を抱えていた。

また、上記のルミネセントソーラーコンセントレーターにおいては、3次元で伝搬する太陽光を、2次元導波路の中に配置した色素や量子ドットで一旦吸収し、次に、これらの色素や量子ドット内でエネルギー緩和が生じることで出て来る光を、当該導波路内を導波させることで、エッジに置かれた光電変換素子あるいは太陽電池で、電気エネルギー化するが、この一連の過程を高効率化することが容易ではなかった(例えば、非特許文献1参照。)。その理由は、(1)かかる色素や量子ドットが、太陽光のスペクトル全体に亘り、光を吸収することはできない、(2)当該色素や量子ドット間の再吸収や、当該色素内や量子ドット内のエネルギー緩和で損失が発生する、更に、(3)当該色素や量子ドットが発光する際には、基本的に等方的に発光するので、2次元導波路内を全反射で導光される光の割合は限られる(発光した光のうち、2次元導波路面に垂直方向に進む光は、当然、導波路内に閉じ込められることなく、外部にその一部が放射される)点などが挙げられる。

また、本発明者自身も、別のコンセプトを用い、その中で、くし歯状の屈折率変調構造を用いて、3次元伝播光を2次元伝播光化することが試みていたが、その効率は必ずしも高いものではなかった(特許文献4参照。)。これは、回折に基づく方向変換を利用しているため、波長依存性が大きいことと、上記屈折率変調構造は、光入射方向に対し、直角な方向において左右対称構造を持つため、時間反転対称性と空間反転対称性の効果が相俟って、基本的に、3次元伝播光を2次元伝播光にしたり、これと逆に2次元伝播光を3次元伝播光にしたりすることが不可能であることによる。

産業上の利用分野

この発明は、光導波装置、光電変換装置、建築物、電子機器、移動体および電磁波導波装置に関する。より詳細には、この発明は、例えば、紫外光、可視光、赤外光などの光を効率的に集め、かつ当該光を途中で損失を生じることなく高効率で導波するのに適用して好適な光導波装置、ビルや家屋などの各種の建築物の窓、壁、屋根や各種の電子機器のディスプレイ、自動車などの各種の移動体の外面に設置して太陽電池として用いて好適な光電変換装置ならびにこの光電変換装置を用いた建築物、電子機器および移動体ならびにマイクロ波などの電磁波を効率的に集め、かつ当該電磁波を途中で損失を生じることなく高効率で導波するのに適用して好適な電磁波導波装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
導波コア層と、
上記導波コア層を不連続に被覆するクラッド層とを有し、
上記クラッド層は、上記導波コア層を被覆していない断絶部の端部と、上記断絶部に対して上記導波コア層の導波方向と反対側でかつ上記導波コア層から離れた位置との間に延在し、上記導波コア層の導波方向に向かって上記導波コア層に次第に近づき、かつ上記断絶部の上記端部における接線が上記導波コア層に平行またはほぼ平行になるように設けられた構造をその一部に有し、
上記クラッド層の上記断絶部に上記クラッド層で被覆された光導入コア層が上記導波コア層と合流するように設けられている光導波装置。

【請求項2】
上記導波コア層は導波方向に対して連続的併進対称性を有し、上記クラッド層は上記導波方向に対して離散的併進対称性を有する請求項1記載の光導波装置。

【請求項3】
上記クラッド層の上記断絶部は上記導波コア層の導波方向に等間隔に複数設けられ、それぞれの上記断絶部に上記光導入コア層が設けられている請求項2記載の光導波装置。

【請求項4】
上記光導入コア層および上記光導入コア層を被覆する上記クラッド層は上記光導入コア層に導入される光が上記光導入コア層と上記クラッド層との界面で全反射を繰り返して上記導波コア層に到達するように設けられている請求項1~3のいずれか一項記載の光導波装置。

【請求項5】
上記断絶部の上記端部から延在する上記クラッド層は上記導波コア層の導波方向に凹に湾曲した形状を有する請求項1~4のいずれか一項記載の光導波装置。

【請求項6】
上記断絶部の上記端部から延在する上記クラッド層は光入射側の直線部とこの直線部に連なる曲線部とを有する請求項5記載の光導波装置。

【請求項7】
上記導波コア層と上記クラッド層とを少なくとも上記導波コア層に導波される光の波長の1000倍以上10万倍以下の距離に亘って有する請求項1~6のいずれか一項記載の光導波装置。

【請求項8】
上記導波コア層は平板状に構成され、上記クラッド層は、上記導波コア層の一方の主面を連続に被覆して上記導波コア層の導波方向に併進対称性を有し、他方の主面を不連続に被覆するように設けられ、上記他方の主面に上記断絶部を有し、上記断絶部に上記光導入コア層が設けられている請求項1~7のいずれか一項記載の光導波装置。

【請求項9】
上記導波コア層は平板状に構成され、上記クラッド層は、上記導波コア層の一方の主面および他方の主面を不連続に被覆するように設けられ、上記一方の主面および上記他方の主面にそれぞれ上記断絶部を有し、上記断絶部に上記光導入コア層が設けられている請求項1~7のいずれか一項記載の光導波装置。

【請求項10】
上記導波コア層の上記一方の主面の上記断絶部と上記他方の主面の上記断絶部とは上記導波コア層の導波方向に互いにずれている請求項9記載の光導波装置。

【請求項11】
上記導波コア層は繊維状に構成され、上記クラッド層は、上記導波コア層の外周面を不連続に被覆するように設けられ、上記外周面に上記断絶部を有し、上記断絶部に上記光導入コア層が設けられている請求項1~7のいずれか一項記載の光導波装置。

【請求項12】
光導波装置と、
上記光導波装置の光出射部に設けられた光電変換部とを有し、
上記光導波装置が、
導波コア層と、
上記導波コア層を不連続に被覆するクラッド層とを有し、
上記クラッド層は、上記導波コア層を被覆していない断絶部の端部と、上記断絶部に対して上記導波コア層の導波方向と反対側でかつ上記導波コア層から離れた位置との間に延在し、上記導波コア層の導波方向に向かって上記導波コア層に次第に近づき、かつ上記断絶部の上記端部における接線が上記導波コア層に平行またはほぼ平行になるように設けられた構造をその一部に有し、
上記クラッド層の上記断絶部に上記クラッド層で被覆された光導入コア層が上記導波コア層と合流するように設けられている光導波装置であり、
上記光導波装置の光入射部に入射した光が、上記光導波装置の光出射部から出射されて上記光電変換部に入射する光電変換装置。

【請求項13】
上記光電変換部は半導体層により構成され、上記半導体層はp型半導体層とn型半導体層とからなるpn接合である請求項12記載の光電変換装置。

【請求項14】
上記半導体層のバンドギャップまたはHOMO-LUMOギャップが光の進行方向に順に段階的および/または連続的に減少するように構成されている請求項13記載の光電変換装置。

【請求項15】
少なくとも一つの光電変換装置を有し、
上記光電変換装置が、
光導波装置と、
上記光導波装置の光出射部に設けられた光電変換部とを有し、
上記光導波装置が、
導波コア層と、
上記導波コア層を不連続に被覆するクラッド層とを有し、
上記クラッド層は、上記導波コア層を被覆していない断絶部の端部と、上記断絶部に対して上記導波コア層の導波方向と反対側でかつ上記導波コア層から離れた位置との間に延在し、上記導波コア層の導波方向に向かって上記導波コア層に次第に近づき、かつ上記断絶部の上記端部における接線が上記導波コア層に平行またはほぼ平行になるように設けられた構造をその一部に有し、
上記クラッド層の上記断絶部に上記クラッド層で被覆された光導入コア層が上記導波コア層と合流するように設けられている光導波装置であり、
上記光導波装置の光入射部に入射した光が、上記光導波装置の光出射部から出射されて上記光電変換部に入射する光電変換装置である建築物。

【請求項16】
外面に取り付けられた少なくとも一つの光電変換装置を有し、
上記光電変換装置が、
光導波装置と、
上記光導波装置の光出射部に設けられた光電変換部とを有し、
上記光導波装置が、
導波コア層と、
上記導波コア層を不連続に被覆するクラッド層とを有し、
上記クラッド層は、上記導波コア層を被覆していない断絶部の端部と、上記断絶部に対して上記導波コア層の導波方向と反対側でかつ上記導波コア層から離れた位置との間に延在し、上記導波コア層の導波方向に向かって上記導波コア層に次第に近づき、かつ上記断絶部の上記端部における接線が上記導波コア層に平行またはほぼ平行になるように設けられた構造をその一部に有し、
上記クラッド層の上記断絶部に上記クラッド層で被覆された光導入コア層が上記導波コア層と合流するように設けられている光導波装置であり、
上記光導波装置の光入射部に入射した光が、上記光導波装置の光出射部から出射されて上記光電変換部に入射する光電変換装置である電子機器。

【請求項17】
外面に取り付けられた少なくとも一つの光電変換装置を有し、
上記光電変換装置が、
光導波装置と、
上記光導波装置の光出射部に設けられた光電変換部とを有し、
上記光導波装置が、
導波コア層と、
上記導波コア層を不連続に被覆するクラッド層とを有し、
上記クラッド層は、上記導波コア層を被覆していない断絶部の端部と、上記断絶部に対して上記導波コア層の導波方向と反対側でかつ上記導波コア層から離れた位置との間に延在し、上記導波コア層の導波方向に向かって上記導波コア層に次第に近づき、かつ上記断絶部の上記端部における接線が上記導波コア層に平行またはほぼ平行になるように設けられた構造をその一部に有し、
上記クラッド層の上記断絶部に上記クラッド層で被覆された光導入コア層が上記導波コア層と合流するように設けられている光導波装置であり、
上記光導波装置の光入射部に入射した光が、上記光導波装置の光出射部から出射されて上記光電変換部に入射する光電変換装置である移動体。

【請求項18】
導波コア層と、
上記導波コア層を不連続に被覆するクラッド層とを有し、
上記クラッド層は、上記導波コア層を被覆していない断絶部の端部と、上記断絶部に対して上記導波コア層の導波方向と反対側でかつ上記導波コア層から離れた位置との間に延在し、上記導波コア層の導波方向に向かって上記導波コア層に次第に近づき、かつ上記断絶部の上記端部における接線が上記導波コア層に平行またはほぼ平行になるように設けられた構造をその一部に有し、
上記クラッド層の上記断絶部に上記クラッド層で被覆された電磁波導入コア層が上記導波コア層と合流するように設けられている電磁波導波装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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