磁性体とBiSbの積層構造の製造方法、磁気抵抗メモリ、純スピン注入源
国内特許コード | P200017314 |
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整理番号 | (S2017-0902-N0) |
掲載日 | 2020年12月2日 |
出願番号 | 特願2019-542310 |
出願日 | 平成30年9月14日(2018.9.14) |
国際出願番号 | JP2018034191 |
国際公開番号 | WO2019054484 |
国際出願日 | 平成30年9月14日(2018.9.14) |
国際公開日 | 平成31年3月21日(2019.3.21) |
優先権データ |
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発明者 |
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出願人 |
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発明の名称 | 磁性体とBiSbの積層構造の製造方法、磁気抵抗メモリ、純スピン注入源 |
発明の概要 | 磁気抵抗メモリのセル2は、磁化自由層12を含むMTJ素子10と純スピン注入源20を備える。純スピン注入源20は、磁化自由層12と接続されるBiSb層を含む。BiSb層に面内電流を流すことにより磁化自由層12の磁化反転が可能である。 |
従来技術、競合技術の概要 |
近年、消費電力が少ない不揮発性メモリの開発が盛んに行われており、中でも磁気抵抗メモリ(MRAM)は大変有望視されている。MRAMは不揮発性に加えて、10ns級の高速動作、極めて高い耐久性(書き込み回数1016回以上)など、大変優れた特性を示す。従って、MRAMを主メモリだけでなく、集積回路に不揮発性メモリとして内蔵すれば、パワーゲーティング効果により集積回路の消費電力を9割削減できると期待される。 第一世代のMRAMのメモリ素子(MTJ:磁気トンネル接合)では、磁場による磁化反転法が用いられた。しかし、磁場による磁化反転はエネルギー消費量が大きかった。2000年台に第二世代の書き込み技術として、スピン注入磁化反転法が研究開発され、2012年ごろから実用化されている。スピン注入磁化反転技術では、MTJ素子の固定磁性層から自由磁性層にスピン偏極電流を注入し、スピントランスファートルク(STT:Spin transfer torque)によって、磁化反転を起こす。この技術を使うMRAMはSTT-MRAMと呼ばれている。スピン注入磁化反転では、次のスピン流ISがスピン偏極電流によって注入される。スピン流ISは単位時間のスピン角運動量の流量である。 Pの上限は1であり、通常ではP~0.5程度である。この式から分かるように、スピン注入磁化反転技術では、スピン流が(hbar/2e)Iを超えることはない。これは、各電子がhbar/2のスピン角運動量しか運べない物理限界があるからである。MRAMは不揮発性があり、待機中にはエネルギーを消費しないが、データを書き込みの時にSRAMなどのメモリよりもまだ1桁大きいエネルギーを消費してしまうという課題が残っている。また、大きな書き込み電流は大きな駆動トランジスタが必要であるため、MRAMの容量を増やすことが困難である。 図1は、純スピン流を用いた磁化反転方式の概要を説明する図である。強磁性層にスピン軌道相互作用が強い材料を接続させる。この層に電流Iを流すと、垂直方向に純スピン流ISが流れる。このような現象はスピンホール効果と呼ばれている。純スピン流密度JSと電流密度Jの間にJS=(hbar/2e)・θshJという関係が成り立つ。ここで、θshはスピン軌道相互作用の強さを反映するパラメータで、スピンホール角と呼ばれている。これより、純スピン流Isと電流Iの間に、次の関係が成り立つ。 つまり、各電子が実効的に、(L/tN)θshのスピンを発生できる。もし、(L/tN)θsh ≫ 1を実現できれば、通常のスピン注入磁化反転よりも純スピン流による磁化反転の方は効率が良いことが分かる。通常(L/tN)~ 5-10であるため、θsh>1のスピンホール材料を用いることができれば、MRAM素子の磁化反転に必要な電流および電力を1桁下げることができる。また、純スピン流注入磁化反転方式では、1桁ぐらい高速に磁化反転できるため、書き込みエネルギーを2桁削減できる。スピンホール効果による純スピン流注入を用いるMRAMはスピン軌道トルクSOT(Spin-orbit-torque)MRAMと呼ばれている。 |
産業上の利用分野 |
本発明は、磁気抵抗メモリに関する。 |
特許請求の範囲 |
【請求項1】 磁化自由層を含むMTJ(磁気トンネル接合)素子と、 前記磁化自由層と接続されるBiSb層を含む純スピン注入源と、 を備え、前記BiSb層に面内電流を流し、前記磁化自由層の磁化反転が可能であることを特徴とする磁気抵抗メモリ。 【請求項2】 前記BiSb層は、結晶化していることを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗メモリ。 【請求項3】 前記BiSb層は(012)配向を有することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気抵抗メモリ。 【請求項4】 前記BiSb層のトポロジカル表面状態を利用して、セルが2端子化されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁気抵抗メモリ。 【請求項5】 面内バイアス磁場の印加を行わないことを特徴とする請求項4に記載の磁気抵抗メモリ。 【請求項6】 磁気抵抗メモリの製造方法であって、 磁化自由層を形成するステップと、 BiSb層を含む純スピン注入源を形成するステップと、 を備え、前記BiSb層は、基板温度200~250℃の条件で製膜されることを特徴とする製造方法。 【請求項7】 磁性体とBiSb層の積層構造の製造方法であって、前記BiSb層を、基板温度200~250℃の条件で製膜することを特徴とする製造方法。 する製造方法。 【請求項8】 前記BiSb層は(012)配向を有することを特徴とする請求項6または7に記載の製造方法。 【請求項9】 磁性体に純スピン流を注入する純スピン注入源であって、 前記磁性体と接続されるBiSb層を含み、前記BiSb層に流れる面内電流に応じて、前記磁性体に面直方向に純スピン流を供給することを特徴とする純スピン注入源。 【請求項10】 前記BiSb層は、結晶化していることを特徴とする請求項9に記載の純スピン注入源。 【請求項11】 磁化自由層を含むMTJ(磁気トンネル接合)素子と、 前記磁化自由層と接続されるBiSb層を含む純スピン注入源と、 を備え、 前記BiSb層が(012)配向を有し、四回対称の結晶構造の下地層が利用される磁気抵抗メモリ。 |
国際特許分類(IPC) |
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Fターム |
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画像
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出願権利状態 | 公開 |
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