TOP > 国内特許検索 > ミトコンドリア膜電位応答性蛍光性化合物

ミトコンドリア膜電位応答性蛍光性化合物 NEW

国内特許コード P200017357
整理番号 (S2018-0102-N0)
掲載日 2020年12月22日
出願番号 特願2019-552365
出願日 平成30年11月8日(2018.11.8)
国際出願番号 JP2018041417
国際公開番号 WO2019093400
国際出願日 平成30年11月8日(2018.11.8)
国際公開日 令和元年5月16日(2019.5.16)
優先権データ
  • 特願2017-216664 (2017.11.9) JP
発明者
  • 川俣 純
  • 鈴木 康孝
  • 浅村 直哉
  • 仁子 陽輔
  • 関 仁望
出願人
  • 国立大学法人山口大学
  • 国立大学法人高知大学
発明の名称 ミトコンドリア膜電位応答性蛍光性化合物 NEW
発明の概要 細胞を染色できる色素であって、水溶性を備え、発光の効率が良く、ミトコンドリア膜電位に応じて局在場所をミトコンドリアから核に移す性質を有し、赤色領域で発光する化合物を提供することを課題とする。本発明の化合物は、式(1)[式(1)中、Xは、式(2)(式(2)中、RはC1~C10のアルキル基を表し、Zはピリジニウムカチオンに対するカウンターアニオンを表す。)で表され、k及びmは0~3の整数であり、l及びnは0~2の整数であり、k、l、m及びnは同時に0ではなく、Xは同じでも異なっていてもよい。Rは電子供与性基又は電子求引性基を表し、a及びcは0~3の整数であり、b及びdは0~2の整数であり、Rは同じでも異なっていてもよく、Xが置換していない炭素原子上に置換する。波線は、幾何異性体E、Zを表す。]で表される。
【化1】
(省略)
従来技術、競合技術の概要

ミトコンドリアは、細胞のエネルギーを生産する一方でアポトーシスの制御にも関わり、細胞の生死に関わる細胞小器官である。また、ミトコンドリアの機能障害に起因して、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞等の代謝疾患、アルツハイマーやパーキンソン病等の神経変性疾患、癌が発病することが指摘されている。そのため、これら疾患のメカニズム解明や、治療方法の開発のためにも、ミトコンドリアの変化を観察することは重要である。

エネルギー生産に伴って生じるミトコンドリア膜電位は、ミトコンドリアの内側と外側での電位差を意味し、ミトコンドリア自体の活力(活性)を表す。すなわち、膜電位があるときはエネルギーが生産され、ミトコンドリアの活力が高い状態にある。他方、膜電位が消失しているときは、エネルギー生産がされず、活力が低い状態にある。また、ミトコンドリア膜電位は、細胞の健康状態を表し、膜電位があるときは正常細胞で、膜電位がないときは異常細胞とされる。

ミトコンドリア膜電位の変化を検出したり、該変化による細胞の健康状態を判別したりするためには、膜電位に応じて発光挙動を変化させる色素によりミトコンドリアを染色し、その発光挙動の変化を観測する方法がある。従来のミトコンドリア膜電位に応答する色素には、2種類のタイプがある。一つは、ミトコンドリア膜電位に応じて発光強度が変化する型の色素、もう一つは、発光色が変化する型の色素である。しかし、発光強度が変化する型の色素は、ミトコンドリア膜電位による発光強度の変化と、色素自体の光退色による発光強度の変化が同時に起こるため、蛍光強度の変化が膜電位の変化によるものか、色素の光退色によるものかを区別することが難しく、膜電位の変化の検出に適するとはいえない。

また、もう一方の発光色が変化する型の色素においても、膜電位の変化に伴う色素の発光色の変化を観測するために、励起光源及び蛍光検出器は発光色に応じてそれぞれ少なくても2系統用意する必要があり、且つリアルタイムで上記励起光源及び蛍光検出器を調整する必要もあり、装置が高コスト化するとともに、実験操作が極めて煩雑となる。さらに、どちらの型の色素も、溶解度の低さから細胞を染色するには、細胞に対して有害な有機溶媒を用いなければならないという問題もある。

本発明者らは、ミトコンドリア膜電位に応じて、局在場所をミトコンドリアから核に移す性質を有している以下の化合物BPを見いだし、細胞の染色に利用できることを既に報告している(非特許文献1)。

【化1】
(省略)

ミトコンドリア膜電位に応じて、化合物BPが局在場所をミトコンドリアから核に移す性質は、蛍光強度が変化する訳ではないので、化合物BP自身の光退色の影響を受けずに膜電位の変化を検出することを可能にする。また、蛍光色の変化もないため、特別な励起光源及び蛍光検出装置を必要とせず、一般的な蛍光顕微鏡による膜電位の変化の検出を可能にした。また、化合物BPは水溶性が高く、細胞にとって有害な有機溶媒を用いなくても細胞の染色を可能にした。そのため、有機溶媒による細胞死が起こらず、24時間以上にわたる生きた細胞の観察を可能にした。

しかし、化合物BPにおける、吸収(励起)によって化合物に吸収された光子数と蛍光によって放出された光子数との比である量子収率(φ)が0.14と低く、発光の効率がよいものではなく、高感度で蛍光を検出するためにも発光の効率がよい化合物が必要とされていた。

そこで、本発明者らは、量子収率が高く発光効率のよい化合物をさらに提案した(特許文献1及び2)。しかし、特許文献1及び2で提案した化合物は、発光が青や緑の領域で生じるものであり、赤色領域で発光する化合物は得られていなかった。赤色領域の光は生体透過性が高く発光の識別が容易となるため、ミトコンドリア膜電位に対する応答性を持ち、かつ生体透過性の高い赤色領域で発光する化合物が求められていた。

産業上の利用分野

本発明は、新規な蛍光性化合物に関し、さらに詳しくは、ミトコンドリア膜電位に応答して局在場所を変化させる蛍光性化合物に関する。また、該化合物を含有する蛍光色素組成物に関する。さらに、上記蛍光色素組成物を用いた、ミトコンドリア膜電位の変化の検出方法や細胞の生死の判別方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式(1)で表される化合物。
【化1】
(省略)
[式(1)中、Xは、
【化2】
(省略)
(式中、RはC1~C10のアルキル基を表し、Zはピリジニウムカチオンに対するカウンターアニオンを表す。)で表され、k及びmは0~3の整数であり、l及びnは0~2の整数であり、k、l、m及びnは同時に0ではなく、Xは同じでも異なっていてもよい。Rは電子供与性基又は電子求引性基を表し、a及びcは0~3の整数であり、b及びdは0~2の整数であり、Rは同じでも異なっていてもよく、Xが置換していない炭素原子上に置換する。波線は、幾何異性体E、Zを表す。]

【請求項2】
カウンターアニオンが、ハロゲン化物イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、スルホネート又は過塩素酸イオンであることを特徴とする請求項1記載の化合物。

【請求項3】
請求項1又は2記載の化合物の1又は2以上を含有することを特徴とする蛍光色素組成物。

【請求項4】
請求項1又は2記載の化合物の1又は2以上を用いることを特徴とする、ミトコンドリア膜電位の変化の検出方法。

【請求項5】
請求項1又は2記載の化合物の1又は2以上を用いることを特徴とする、細胞の生死を判別する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2019552365thum.jpg
出願権利状態 公開
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記「問合せ先」まで直接お問い合わせください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close