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栽培植物の養液栽培方法及び養液栽培用培養液

国内特許コード P210017460
整理番号 (S2018-0234-N0)
掲載日 2021年3月12日
出願番号 特願2019-564716
出願日 平成31年1月9日(2019.1.9)
国際出願番号 JP2019000333
国際公開番号 WO2019139031
国際出願日 平成31年1月9日(2019.1.9)
国際公開日 令和元年7月18日(2019.7.18)
優先権データ
  • 特願2018-004568 (2018.1.15) JP
発明者
  • 竹葉 剛
出願人
  • 京都府公立大学法人
発明の名称 栽培植物の養液栽培方法及び養液栽培用培養液
発明の概要 本発明は、播種から収穫までの期間、植物体の生育に必要な肥料成分を含む培養液を用いて栽培する方法であって、前記期間を、育苗装置にて播種から発芽まで栽培する発芽期間、育苗装置にて発芽した苗を所定の大きさに成長するまで該育苗装置で栽培する育苗期間、所定の大きさに成長した苗を育苗装置から生育装置に移植し、該生育装置にて収穫するまで栽培する生育期間に分けたとき、育苗期間において、マグネシウムイオンの濃度が24ppm~120ppmの範囲であり、硝酸性窒素の濃度が4~50ppmの範囲にある育苗用培養液を用いること、或いは生育期間において、マグネシウムイオンの濃度が48ppm~120ppmの範囲にあり、硝酸性窒素の濃度が150ppm~200ppmの範囲にある生育用培養液を用いることを特徴とする。
従来技術、競合技術の概要

マグネシウムは、タンパク質合成(リボソーム粒子の会合)、DNA合成、RNA合成、300以上の酵素活性の調節、ATPの安定化に関与する元素であり、また、クロロフィルの構成元素である等、生命活動を支える必須の元素であることが知られている。

植物では、細胞が分裂する部位が茎頂分裂組織と根端分裂組織に局在しているため、高い細胞分裂の活性を維持するためには、それらの組織にマグネシウムが比較的高濃度で供給される必要がある。特に、細胞分裂に直接関わるDNAポリメラーゼは、その触媒活性に比較的高濃度のマグネシウムイオンを必要とすることが判明している(参考として、Taq DNAポリメラーゼの触媒活性に必要なマグネシウムの至適濃度は 4mM(=96ppm))。従って、茎頂分裂組織および根端分裂組織へのマグネシウムの供給が不十分であれば、細胞の分裂速度は遅くなり、ひいては植物個体としての成長速度が小さくなる。逆に、上記組織にマグネシウムが十分に供給されれば、植物個体の成長速度は大きくなる。

マグネシウムは根から吸収される。根から吸収されたマグネシウムの多くは、茎頂分裂組織および根端分裂組織に直接運搬されるのではなく、まずは、蒸散流によって葉に移行し、その後、篩管流に乗って茎頂分裂組織および根端分裂組織に供給される。篩管流は溶質濃度の高い側から低い側へと流れるため、分裂組織(シンク側)で必要とされるマグネシウム濃度よりも、供給側である葉(ソース側)の方が高いマグネシウム濃度が必要となる。つまり、高い細胞分裂活性(ひいては速い成長速度)を維持するためには、シンク側とソース側のマグネシウム濃度の落差が必要となる。

野菜や花卉等の栽培植物の栽培方法の一つに養液栽培がある(例えば特許文献1)。養液栽培で用いられる培養液処方には、園芸試験場処方、山崎処方、大塚ハウスA処方などがあるが、これらの処方の成分組成はいずれも、栽培植物の生育に必須の三要素(窒素、リン酸、カリウム)を中心に、対象となる栽培植物の種類に応じた適宜の肥料成分を組み合わせて構成される。マグネシウムは、植物の成長に大きく寄与するという理由から、三要素に次いで培養液処方に多く含まれる肥料成分の一つである。

各処方の肥料成分の組成は、各肥料成分に関する栽培植物の分析結果や根からの吸収速度などを参考に、経験的に定められたものであり、通常の発育が確認される組成とされている。特に、必須の三要素である窒素、リン酸、カリウムは、古くから様々な種類の植物の肥料成分として用いられている。養液栽培の事業者の間には、従来の処方は経験的にベストな処方であり、それ以外の処方を試す余地はないという強い思い込みがあったため、従来の培養液処方が見直されることなく、使用され続けているのが実状である。

産業上の利用分野

本発明は、野菜や花卉等の栽培植物の養液栽培方法及びこれに用いられる養液栽培用培養液に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
播種から収穫までの期間、植物の生育に必要な肥料成分を含む培養液を用いて栽培する栽培植物の養液栽培方法であって、
前記期間を、育苗装置にて播種から発芽まで栽培する期間である発芽期間、前記育苗装置にて発芽した苗を所定の大きさに成長するまで該育苗装置で栽培する期間である育苗期間、前記所定の大きさに成長した苗を前記育苗装置から生育装置に移植し、該生育装置にて収穫するまで栽培する期間である生育期間に分けたとき、
前記育苗期間において、マグネシウムイオンの濃度が24ppm~120ppmの範囲にあり、硝酸性窒素の濃度が4~50ppmの範囲にある育苗用培養液を用いることを特徴とする栽培植物の養液栽培方法。

【請求項2】
播種から収穫までの期間、植物の生育に必要な肥料成分を含む培養液を用いて栽培する栽培植物の養液栽培方法であって、
前記期間を、育苗装置にて播種から発芽まで栽培する期間である発芽期間、前記育苗装置にて発芽した苗を所定の大きさに成長するまで該育苗装置で栽培する期間である育苗期間、前記所定の大きさに成長した苗を前記育苗装置から生育装置に移植し、該生育装置にて収穫するまで栽培する期間である生育期間に分けたとき、
前記生育期間において、マグネシウムイオンの濃度が48ppm~120ppmの範囲にあり、硝酸性窒素の濃度が150ppm~200ppmの範囲にある生育用培養液を用いる、栽培植物の養液栽培方法。

【請求項3】
発芽した苗を所定の大きさに成長するまで育苗装置で養液栽培するときに用いられる培養液であって、マグネシウムイオンの濃度が24ppm~120ppmの範囲にあり、硝酸性窒素の濃度が4~50ppmの範囲にある、養液栽培用培養液。

【請求項4】
所定の大きさに成長した苗を生育装置で養液栽培するときに用いられる培養液であって、マグネシウムイオンの濃度が48ppm~120ppmの範囲にあり、硝酸性窒素の濃度が150ppm~200ppmの範囲にある、養液栽培用培養液。

【請求項5】
請求項1又は2に記載の養液栽培方法を用いて葉物野菜類を栽培することにより高マグネシウム葉物野菜類を製造する方法。

【請求項6】
播種から収穫までの期間、植物の生育に必要な肥料成分を含む培養液を用いて栽培する栽培植物の養液栽培方法であって、
前記期間を、育苗装置にて播種から発芽まで栽培する期間である発芽期間、前記育苗装置にて発芽した苗を所定の大きさに成長するまで該育苗装置で栽培する期間である育苗期間、前記所定の大きさに成長した苗を前記育苗装置から生育装置に移植し、該生育装置にて、収穫時よりも所定時間前まで生育する期間である生育期間、該生育装置にて前記収穫時よりも所定時間前から該収穫時まで栽培する期間である収穫前期間に分けたとき、
前記育苗期間において、マグネシウムイオンの濃度が24ppm~120ppmの範囲にあり、硝酸性窒素の濃度が4~50ppmの範囲にある育苗用培養液を用い、
前記収穫前期間において、窒素を含有せず、カルシウムを含有する養液を用い、さらに波長が490nm以下の可視光を照射することを特徴とする栽培植物の養液栽培方法。

【請求項7】
播種から収穫までの期間、植物の生育に必要な肥料成分を含む培養液を用いて栽培する栽培植物の養液栽培方法であって、
前記期間を、育苗装置にて播種から発芽まで栽培する期間である発芽期間、前記育苗装置にて発芽した苗を所定の大きさに成長するまで該育苗装置で栽培する期間である育苗期間、前記所定の大きさに成長した苗を前記育苗装置から生育装置に移植し、該生育装置にて、収穫時よりも所定時間前まで生育する期間である生育期間、該生育装置にて前記収穫時よりも所定時間前から該収穫時まで栽培する期間である収穫前期間に分けたとき、
前記生育期間において、マグネシウムイオンの濃度が48ppm~120ppmの範囲にあり、硝酸性窒素の濃度が150ppm~200ppmの範囲にある生育用培養液を用い、
前記収穫前期間において、窒素を含有せず、カルシウムを含有する養液を用い、さらに波長が490nm以下の可視光を照射することを特徴とする栽培植物の養液栽培方法。

【請求項8】
請求項6又は7に記載の養液栽培法方を用いて葉物野菜類を栽培することにより高グルタチオン葉物野菜類を製造する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2019564716thum.jpg
出願権利状態 公開


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