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掻痒治療剤

国内特許コード P210017466
整理番号 S2019-0599-N0
掲載日 2021年3月15日
出願番号 特願2019-157118
公開番号 特開2021-031482
出願日 令和元年8月29日(2019.8.29)
公開日 令和3年3月1日(2021.3.1)
発明者
  • 原 博満
  • 野元 裕輔
  • 金蔵 拓郎
  • 椛島 健治
  • 中嶋 千紗
出願人
  • 国立大学法人鹿児島大学
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 掻痒治療剤
発明の概要 【課題】掻痒症に対する掻痒治療剤及び掻痒治療用組成物を提供することである。
【解決手段】インターロイキン27(IL-27)、及び/又はIL-27受容体アゴニストを有効成分として含む、掻痒治療剤を提供する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要

現在、日本国民の15%以上が何らかの慢性の「痒み(掻痒)」に苦しんでいると推定されている。慢性の痒みは、睡眠障害をもたらすなど、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を著しく低下させるため、多大な経済損失をも生み出している。大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学講座皮膚科の試算によれば、痒みを原因とするQOL低下による一か月あたりの日本全体の経済損失は、4,690億円に上るものと推計されている(非特許文献1)。

痒みは、皮膚表層(表皮と真皮の境界領域)と粘膜部に生じ、掻きたいとの衝動を引き起こす感覚である。痒みは、皮膚に存在する末梢神経線維(一次求心性感覚神経C線維)の自由終末が、肥満細胞などから放出されるヒスタミンや、ダメージを受けた皮膚や免疫細胞から産生されるメディエーターを受容し、脊髄後角神経細胞を経由して、脳へと情報が伝えられることによって認識される。

痒みの感覚は、掻破(引っ掻き、擦過)を引き起こすことによって病原体の侵入や有害な環境刺激を排除する、生体防御応答を構成している。その反面、慢性の痒みを伴う疾患では、掻破によって皮膚バリアーが破壊されることで症状が悪化し、さらに強い痒みが誘発されるという悪循環が生じ得る。したがって、患者のQOLを改善するだけでなく、疾患のさらなる悪化を防ぐためにも、痒みに対する有効な薬剤や治療法の開発が必要である。

現在行われている痒みに対する標準治療は、一定の掻痒軽減効果を有するものの、以下に述べるように課題が多く残されている。

例えば、蕁麻疹など湿疹性皮膚疾患の痒み治療の第一選択は抗ヒスタミン剤(H1ブロッカー)である。しかし、アトピー性皮膚炎、乾癬などの慢性皮膚疾患では、ヒスタミン以外の因子が痒みの誘発に重要であるため、抗ヒスタミン剤は奏効しない(非特許文献2)。したがって、アトピー性皮膚炎の治療には、炎症を抑制することで間接的に痒みを抑えるという意味で、ステロイド外用薬、タクロリムス外用薬が用いられる。しかし、ステロイド外用薬は皮膚線条、萎縮、局所免疫能低下に伴う皮膚感染症の増加をもたらし、タクロリムス外用薬は局所灼熱感をもたらす上に、十分な鎮痒効果が得られない患者も多く存在する。このような患者群には、ステロイド剤やシクロスポリンの短期経口投与がやむを得ず行われるが、全身性の免疫不全など重篤な有害作用が懸念され、長期間使用できるものではない(非特許文献3)。

さらに近年では、重症度の高いアトピー性皮膚炎や、乾癬に対して、抗体医薬が導入され、その有効性が示されている(非特許文献4、5)。しかし、慢性掻痒は様々な炎症メディエーターや内因性起痒物質が複合的に作用した結果生じるものであり、単一のメディエーターを標的とする方法では、これら全ての経路を遮断することは理論的に難しい。さらに、近年登場した抗体医薬の多くは、あくまでも炎症の抑制に働くものであり、直接的に痒みを抑える効果を示すものではない。そのため、老人性皮膚掻痒症(ドライスキン)や慢性突発性掻痒症(Chronic idiopathic pruritis; CIP)のように背景に炎症が存在しない皮膚掻痒症には効果が期待できない。

したがって、様々な掻痒症に対して痒みを効果的に抑制することが可能であり、かつ副作用の少ない、新たな掻痒治療薬の開発が望まれている。

産業上の利用分野

本発明は、インターロイキン27(IL-27)及び/又はIL-27受容体アゴニストを有効成分として含む掻痒治療剤、並びに前記掻痒治療剤を含む掻痒治療用組成物に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
インターロイキン27(IL-27)、及び/又はIL-27受容体アゴニストを有効成分として含む、掻痒治療剤。

【請求項2】
前記IL-27が、
a) 配列番号1で示すアミノ酸配列を有するヒト野生型p28タンパク質、
b) 配列番号1で示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有する変異型p28タンパク質、又は
c) 配列番号1で示すアミノ酸配列に対して1又は複数個のアミノ酸が付加、欠失、若しくは置換された変異型p28タンパク質
及び、
d) 配列番号2で示すアミノ酸配列を有するヒト野生型EBI3タンパク質、
e) 配列番号2で示すアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有する変異型EBI3タンパク質、又は
f) 配列番号2で示すアミノ酸配列に対して1又は複数個のアミノ酸が付加、欠失、若しくは置換された変異型EBI3タンパク質
からなり、ヒト野生型IL-27の活性を有する、請求項1に記載の掻痒治療剤。

【請求項3】
前記掻痒がヒスタミン依存性掻痒である、請求項1又は2に記載の掻痒治療剤。

【請求項4】
前記ヒスタミン依存性掻痒が蕁麻疹、虫刺症、又は薬疹による掻痒である、請求項3に記載の掻痒治療剤。

【請求項5】
前記掻痒がヒスタミン非依存性掻痒である、請求項1又は2に記載の掻痒治療剤。

【請求項6】
前記ヒスタミン非依存性掻痒が、アトピー性皮膚炎若しくは乾癬による掻痒、慢性突発性掻痒、又は老人性皮膚掻痒である、請求項5に記載の掻痒治療剤。

【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の掻痒治療剤、並びに抗ヒスタミン剤、ステロイド剤、シクロスポリン、タクロリムス、ヒト型抗ヒトIL-4/IL-13受容体モノクローナル抗体、抗IL-31受容体ヒト化モノクローナル抗体、及びヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体からなる群から選択される1以上を含む、掻痒治療用組成物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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