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膵がん等のがんの判定用バイオマーカー

国内特許コード P210017469
整理番号 (S2018-0241-N0)
掲載日 2021年3月15日
出願番号 特願2019-561671
出願日 平成30年12月21日(2018.12.21)
国際出願番号 JP2018047362
国際公開番号 WO2019131552
国際出願日 平成30年12月21日(2018.12.21)
国際公開日 令和元年7月4日(2019.7.4)
優先権データ
  • 特願2017-251593 (2017.12.27) JP
発明者
  • 大槻 純男
  • 伊藤 慎悟
出願人
  • 国立大学法人熊本大学
発明の名称 膵がん等のがんの判定用バイオマーカー
発明の概要 本発明の課題は、膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがん(好ましくは膵がん、より好ましくは早期膵がん)の有無又は発症リスクを精度よく判定できる判定方法や、判定用バイオマーカー等を提供することにある。
本発明は、以下の[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される1又は2種以上の物質を、早期膵がんを含む膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん、胆管がんの有無又は発症リスクを精度よく判定できるバイオマーカーとして用いる。
[Aグループ]APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、TTHYの部分ペプチド、Q5VY30の部分ペプチド、H0YAC1の部分ペプチド、BTDの部分ペプチド、APOA4、APOA1、TTHY、Q5VY30、H0YAC1、BTD
[Bグループ]ITIH3の部分ペプチド、ITIH3
従来技術、競合技術の概要

がんは死亡原因の高い割合を占めており、その状況は長らく続いている。様々な抗がん剤の開発がこれまでに進められており、免疫チェックポイント阻害剤など、以前より効果の高い抗がん剤も実用化されているものの、得られる抗がん作用の程度には個人差やがんの種類による差も大きく、がんは依然として人類にとっての脅威であり続けている。ただ、がんは早期に発見することができれば、早期に治療を開始することで、がんによる死亡率を大きく低下させることができる。そのため、より精度の高い又はより多様な、がんの判定・診断方法、特に、早期のがんの判定・診断方法の開発が進められている。

ところで、がんの中でも、膵がんは難治性がんの一つであり、外科的手術以外の有効な治療法は確立されてない。膵がんが難治性がんであることの主な要因の一つとして、膵臓が胃の裏側、すなわち、体の深部に位置しており、がんが発生しても症状が現れにくく、早期発見が非常に難しいこということが挙げられる。実際、膵がんの5年生存率は約9%と極めて予後が悪いものの、早期の膵がん(ステージI)の5年生Z存率は41%と比較的予後がよい。このように、膵がんにおいては早期発見、早期治療が特に重要であり、膵がんを現在よりも早期に発見することができれば、膵がん患者の5年生存率を大幅にあるいは劇的に向上させることが可能になると期待できる。

膵がんの診断手法としては、血清腫瘍マーカーであるCA19-9を用いられることが知られている。また、最近では、膵がんの診断において、ヘリカルCT、磁気共鳴装置(MRI)、内視鏡的超音波検査法(EUS)などが用いられている。しかしながら、これらのいずれの診断手法も、膵がんの診断手法として十分とは言えず、特に、早期の膵がんの診断手法としては全く不十分であった。

早期の膵がんの診断に関して、特許文献1には、放射性核種で標識されたc(RGDfK)ペプチドを、哺乳動物に投与する工程、及び、投与後の哺乳動物の膵臓における前記放射性核種を検出する工程を含む、早期膵がんの検出方法が開示されている。しかし、この方法は、放射性核種で標識されたペプチドの取り扱いに注意が必要であり、実用性は高くない。一方、本発明者らはこれまでに、血漿中に存在するバイオマーカーであるinsulin-like growth factor-binding protein(IGFBP)2及びIGFBP3が、膵がんの早期発見に有用であることを見いだしている(非特許文献1)。しかし、本発明の特定の物質群から選択される1又は2種以上の物質が、膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがんの有無又は発症リスクを判定できるバイオマーカーであること、特に、早期の膵がんの有無又は発症リスクを判定できるバイオマーカーであることについては、これまで知られていなかった。

産業上の利用分野

本発明は、膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがん(以下、「本発明におけるがん」とも表示する。)の有無又は発症リスクの判定方法であって、被検者から採取された判定用血液試料中の特定の物質群から選択される1又は2種以上の物質の濃度を測定する工程(a)を含む判定方法や、前述の特定の物質群からなる前述のがんの有無の判定用バイオマーカー等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがんの有無又は発症リスクの判定方法であって、
前記判定方法が以下の工程(a)~(c)を含むことを特徴とする、前記判定方法。
(a)被検者から採取された判定用血液試料中の、以下の[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される1又は2種以上の物質の濃度を測定する工程;
[Aグループ]
APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、TTHYの部分ペプチド、Q5VY30の部分ペプチド、H0YAC1の部分ペプチド、BTDの部分ペプチド、APOA4、APOA1、TTHY、Q5VY30、H0YAC1、BTD
[Bグループ]
ITIH3の部分ペプチド、ITIH3
(b)工程(a)で測定した物質の濃度を、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度と比較する工程;
(c)工程(a)で測定した物質が[Aグループ]の物質である場合、工程(a)で測定した物質の濃度が、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度と比較して低いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価し、及び/又は、
工程(a)で測定した物質が[Bグループ]の物質である場合、工程(a)で測定した物質の濃度が、対照となる健常血液試料中のその物質の濃度と比較して高いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価する工程;

【請求項2】
工程(b)が、工程(a)で測定した2種以上の物質の各濃度と、対照となる健常血液試料中の2種以上の物質の各濃度とを、2種以上の物質の各濃度を変数とする多変量解析における予測式に代入して得た予測値を比較する工程であり、
前記予測式が、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い場合に予測値が高くなる予測式である場合には、工程(c)は、被検者について得られた予測値が健常血液試料について得られた予測値よりも高いときに、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価する工程であり、
前記予測式が、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い場合に予測値が低くなる予測式である場合には、工程(c)は、被検者について得られた予測値が健常血液試料について得られた予測値よりも低いときに、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いと評価する工程であることを特徴とする請求項1に記載の判定方法。

【請求項3】
物質が、APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、ITIH3の部分ペプチド、APOA4、APOA1及びITIH3からなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の判定方法。

【請求項4】
部分ペプチドがプロテアーゼで消化されたペプチドであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の判定方法。

【請求項5】
多変量解析が、ロジスティック回帰分析又は重回帰分析であることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の判定方法。

【請求項6】
[Bグループ]がさらにCA19-9抗原を含んでおり、
工程(a)で濃度を測定する物質が、[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される2種以上の物質であって、少なくともCA19-9抗原を含んでいることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の判定方法。

【請求項7】
工程(a)における物質の濃度の測定を質量分析法により行うことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の判定方法。

【請求項8】
物質が、APOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドを少なくとも含んでおり、
判定方法が、工程(a)で測定したAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度が、対照となる健常血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度と比較して低い程度がより大きいとき、前記被検者が膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いと評価する工程(d)をさらに含むことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の判定方法。

【請求項9】
がんが、早期膵がんであることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の判定方法。

【請求項10】
以下の[Aグループ]及び[Bグループ]に記載される物質群から選択される1又は2種以上の物質からなることを特徴とする、
膵がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん及び胆管がんからなる群から選択される1種又は2種以上のがんの有無又は発症リスクの判定用バイオマーカーであって、
物質が[Aグループ]の物質である場合、被検者から採取された判定用血液試料中の前記物質の濃度が、対照となる健常者における前記物質の濃度と比べて低いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いことが示され、
物質が[Bグループ]の物質である場合、被検者から採取された判定用血液試料中の前記物質の濃度が、対照となる健常者における前記物質の濃度と比べて高いとき、前記被検者が前記1種又は2種以上のがんを有している可能性が高い又は前記被験者における前記がんの発症リスクが高いことが示される、
前記判定用バイオマーカー。
[Aグループ]
APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、TTHYの部分ペプチド、Q5VY30の部分ペプチド、H0YAC1の部分ペプチド、BTDの部分ペプチド、APOA4、APOA1、TTHY、Q5VY30、H0YAC1、BTD
[Bグループ]
ITIH3の部分ペプチド、ITIH3

【請求項11】
物質が、APOA4の部分ペプチド、APOA1の部分ペプチド、ITIH3の部分ペプチド、APOA4、APOA1及びITIH3からなる群から選択される1種又は2種以上である請求項10に記載の判定用バイオマーカー。

【請求項12】
物質が、APOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドを少なくとも含んでおり、
被検者から採取された判定用血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度が、対照となる健常血液試料中のAPOA4の部分ペプチド又はAPOA1の部分ペプチドの濃度と比較して低い程度がより大きいとき、前記被検者が膵がんを有している可能性が高い又は前記被験者における膵がんの発症リスクが高いことが示される請求項10又は11に記載の判定用バイオマーカー。

【請求項13】
がんが、早期膵がんであることを特徴とする請求項10~12のいずれかに記載の判定用バイオマーカー。
国際特許分類(IPC)
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