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加飾性水系組成物及びその製造方法

国内特許コード P210017483
整理番号 (S2018-0274-N0)
掲載日 2021年3月15日
出願番号 特願2019-572308
出願日 平成31年2月18日(2019.2.18)
国際出願番号 JP2019005758
国際公開番号 WO2019160132
国際出願日 平成31年2月18日(2019.2.18)
国際公開日 令和元年8月22日(2019.8.22)
優先権データ
  • 特願2018-026682 (2018.2.19) JP
発明者
  • 山中 淳平
  • 豊玉 彰子
  • 奥薗 透
  • 山本 瑠璃
  • 福島 文徳
  • 佐藤 結
  • 坂西 裕一
  • 福田 瞳
出願人
  • 公立大学法人名古屋市立大学
  • 株式会社ダイセル
発明の名称 加飾性水系組成物及びその製造方法
発明の概要 【課題】オパール型コロイド結晶からなる粒子が水系分散媒中に均一に安定に分散しており、光の干渉により構造色を呈する加飾性水系組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の加飾性水系組成物は、高分子が溶解している水系分散媒にオパール型コロイド結晶の粒子が分散されており、該オパール型コロイド結晶の粒子は、平均粒径が10nm以上1000nm以下の範囲であって粒径の変動係数が20%以内の親水性のコロイド粒子からなることを特徴とする。このため、本発明の加飾性水系組成物は、水系分散媒中に均一に安定にオパール型コロイド結晶が分散しており、光の干渉により構造色を呈することとなる。このため、化粧水等に好適に用いることができる。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要

コロイド結晶とは、数nmから数μmの大きさを有する粒径の揃った粒子が周期的に規則正しく並んだ秩序構造を形成したものをいう。コロイド結晶は、通常の結晶と同様に、格子面間隔に応じた電磁波をBragg回折する。その回折波長は、製造条件(粒子濃度、粒径、粒子あるいは媒体の屈折率など)を選ぶことで、可視光領域や赤外領域等、様々な波長領域に設定することができる。このため、コロイド結晶を水系分散媒中に分散させ、キラキラした加飾性水系組成物とする技術が開発されている(例えば特許文献1~3)。

ところで、コロイド結晶として3つのタイプが良く知られている。
第一は荷電型コロイド結晶であり、表面電荷によって荷電したコロイド粒子の分散系(荷電コロイド系)において、粒子間に働く静電反発力により形成される。図1に示すように、静電反発力が小さいときは、コロイド粒子はブラウン運動により自由に動き回るために、ランダムな位置になる。ところが、静電反発力が強くなると粒子が他の粒子からできるだけ遠ざかろうとする結果、所定の格子間隔で並んだコロイド結晶を形成する。静電反発力は長距離におよぶため、粒子濃度の低い(すなわち、粒子間の距離の長い)ところで結晶が生成する。

第二は粒子間に剛体球反発のみが働く剛体球系コロイド結晶である。限られた空間内に巨視的な球を多数詰め込むと、球は結晶様に規則配列するが、剛体球系コロイド結晶は、この現象に似ている。結晶化の支配パラメーターは分散液中の粒子体積分率φのみであり、図2に示すように、結晶化はφ=0.49程度で生じる(Alder 転移と呼ばれる)。φ>0.49 の高濃度条件では、粒子の配列がランダムであるより規則的なほうが粒子の可能な配置の数が多くなるため、無秩序状態より結晶状態のほうがエントロピーはむしろ大きくなる。したがって、剛体球系コロイド結晶は最密充填条件ではなく、粒子同士は接触していない状態で結晶構造が形成されている。

第三はオパール型コロイド結晶であり、図2の一番右側に示すように、粒子同士接触し充填した結晶構造を有している。宝石のオパールは粒径のそろったシリカ(SiO2)微粒子が沈降して最密充填したコロイド結晶となったものであり、コロイド微粒子が最密充填結晶されたコロイド結晶は、一般にオパール型コロイド結晶と呼ばれる。このときの体積分率は、結晶構造により異なるが、例えば体心立方格子で0.68、面心立方格子では0.74程度である。

前述した特許文献1~3に記載された加飾性水系組成物は、上記3種のコロイド結晶のうち荷電型コロイド結晶を利用したものである。すなわち、荷電型コロイド結晶が水系分散媒中に形成されたものであり、可視光の干渉によりキラキラした構造色を有する液体となる。このため、化粧水等に応用することが提案されている。

しかし、荷電型コロイド結晶は塩濃度が高くなると電気的な斥力が小さくなり、コロイド粒子を一定の距離に保つことが困難となる。例えば、コロイド粒子が希薄な場合には、塩濃度が数10μM以上で荷電型コロイド結晶は形成されなくなる。また、コロイド粒子の濃度が10%以上では、塩濃度が0.1mM程度以上で荷電型コロイド結晶は形成されなくなる。このため、塩濃度0.1mM以上で安定な荷電型コロイドを形成させることはできない。化粧水等の化粧品にはイオン性の添加物やpHのバッファーが含まれていたりするため、化粧品の加飾等に利用することは実用上困難となっていた。

一方、剛体球系コロイド結晶は、粒子の体積分率が0.5以上という高濃度が必要となるため、これを化粧品の加飾等に利用することは困難である。また、オパール型コロイド結晶に至っては、粒子の体積分率が0.74以上という更なる高濃度が必要となるため、これを化粧品の加飾等に利用することは、さらに困難となる。

剛体球系コロイド結晶やオパール型コロイド結晶を粉砕し、分散媒中で分散させて構造色を発揮させることも考えられるが、これらのコロイド結晶の微粉砕物を液中に安定に長期間分散させることは難しく、均一な発色はやはり困難であった。

なお、本発明者らは、オパール型のコロイド結晶の製造方法として、粒子径のそろった2種類のコロイド粒子が分散するコロイド系に高分子を溶解させることにより、沈殿したコロイド粒子がオパール型コロイドの共晶となることを見出している(特許文献4)。この方法はコロイド粒子が沈殿して共晶構造が形成されるというものであり、オパール型コロイド結晶は分散媒に分散されてはおらず、オパール型コロイド結晶が水系溶媒に分散した状態である加飾性水系組成物とはならないものである。

また、水系分散媒ではないが、分散媒としてエチルナフタレンを用い、2種類の架橋されたポリスチレン粒子と、1種類の線状のポリスチレン高分子の混合系において、格子定数の異なる複数種類のオパール型コロイド結晶がエチルナフタレン中に分散して共存するという現象が見出されている(非特許文献1)。

産業上の利用分野

本発明は、オパール型のコロイド結晶が水系分散媒中に分散しており、Bragg回折によって構造色を示す加飾性水系組成物及びその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
高分子が溶解している水系分散媒にオパール型コロイド結晶が分散されており、該オパール型コロイド結晶を形成しているコロイド粒子は該水系分散媒に分散可能であり平均粒径が10nm以上1000nm以下の範囲であって粒径の変動係数が20%以内とされていることを特徴とする加飾性水系組成物。

【請求項2】
該コロイド粒子の比重は該水系分散媒の比重の0.9倍~1.1倍の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の加飾性水系組成物。

【請求項3】
前記コロイド粒子は架橋された高分子からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の加飾性水系組成物。

【請求項4】
前記コロイド粒子はポリN-イソプロピルアクリルアミドからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の加飾性水系組成物。

【請求項5】
前記コロイド粒子はポリN-イソプロピルアクリルアミドおよびポリアクリルアミドからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の加飾性水系組成物。

【請求項6】
前記水系分散媒は水以外にアルコールを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の加飾性水系組成物。

【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項の加飾性水系組成物を固化した加飾性固化体。

【請求項8】
水系分散媒と、該水系分散媒に溶解可能な高分子と、平均粒径が10nm以上1000nm以下の範囲であって粒径の変動係数が20%以内のコロイド粒子と、を混合することによってオパール型コロイド結晶からなる粒子の分散液とすることを特徴とする加飾性水系組成物の製造方法。

【請求項9】
前記親水性のコロイド粒子は架橋された親水性の高分子であることを特徴とする請求項8に記載の加飾性水系組成物の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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