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磁性体観察方法および磁性体観察装置 新技術説明会

国内特許コード P210017538
整理番号 (Q20072JP)
掲載日 2021年5月7日
出願番号 特願2020-507917
出願日 平成31年3月22日(2019.3.22)
国際出願番号 JP2019012018
国際公開番号 WO2019182097
国際出願日 平成31年3月22日(2019.3.22)
国際公開日 令和元年9月26日(2019.9.26)
優先権データ
  • 特願2018-054701 (2018.3.22) JP
発明者
  • 稲見 俊哉
  • 綿貫 徹
  • 上野 哲朗
  • 安田 良
出願人
  • 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
発明の名称 磁性体観察方法および磁性体観察装置 新技術説明会
発明の概要 本発明に係る磁性体観察方法は、試料(S)の一領域に励起線(E1)を照射することによって、試料(S)に含まれる磁性元素に特性X線(X1)を放射させる照射工程と、特性X線(X1)に含まれる右円偏光成分および左円偏光成分の強度をそれぞれ検出する検出工程と、右円偏光成分の強度と左円偏光成分の強度との差分を算出する算出工程と、を含んでいる。この差分を参照することで、試料(S)に対する制限が緩く、かつ、磁化の向きまたは磁化の大きさの精密な測定が可能になる。
従来技術、競合技術の概要

物質の表面のミクロな幾何学的構造は、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で容易に観察することができる。物質の表面における元素組成のミクロな2次元分布も、走査型電子顕微鏡において電子線の照射に伴って発生する特性X線を検出することによって、視覚的に認識することが可能である。例えば、特許文献1に記載されるように、こうした機能を有する走査型電子顕微鏡が広く用いられている。一方、永久磁石、電磁鋼板、磁気記録媒体等、磁性体材料を基にした材料の開発等においては、磁区(磁化の向きが揃った領域)の2次元状の構造(磁区構造)を認識できることも望まれる。

磁区構造を観察するための機能を走査型電子線顕微鏡に付与した技術として、例えば、非特許文献1に記載のスピンSEMが挙げられる。電子線照射によって強磁性体から発せられた2次電子のスピン偏極は、磁性体の磁化と関連をもつ。特許文献1に記載のスピンSEMにおいては、このことを利用し、2次電子のスピン偏極を測定することによって、走査型電子線顕微鏡における通常の2次電子画像と共に磁化の2次元構造(2次元状磁区構造)を画像化して表示している。

また、特許文献2には、磁区構造が画像として認識できる磁気力顕微鏡が記載されている。特許文献2に記載の磁気力顕微鏡においては、原子間力顕微鏡において用いられるカンチレバーに磁性膜を付与することにより、試料からの漏洩磁場のマッピングが可能とされ、これによって磁区構造が画像として認識している。また、特許文献3には、試料に対してスピン流注入部材を接合した上で電圧を印加し、試料の熱画像(赤外線画像)を取得することによって磁区構造を画像化して認識することのできる観察装置が記載されている。

また、磁区構造を観察する手法として、磁気光学カー効果顕微鏡を用いた観察方法が知られている。この方法は、可視光或いは紫外光を磁性体試料面に照射し、反射光の偏光の変化を計測する手法である。この方法においては、磁気光学カー効果によって測定対象の磁化の向きおよび磁化の大きさに応じて反射光の偏光が変化することを利用して磁区構造を観察する。

また、磁区構造を観察する別の手法として、X線磁気円二色性(XMCD)顕微鏡を用いた観察方法も公知である。この方法においては、円偏光のX線を磁性体試料に照射した際に試料に吸収されるX線の割合が円偏光の左右回転方向により異なるという性質(MCD)を利用し、円偏光の左右回転方向の吸収率の差分から、試料の磁化の向きおよび磁化の大きさを計測する。XMCD顕微鏡を用いた磁区観察は、測定試料中の特定元素の吸収端を利用するため、目的の元素を選択的に測定する(元素選択的測定)ことができる。

上記XMCD顕微鏡は、照射するX線のエネルギーに応じて軟X線MCD顕微鏡と硬X線MCD顕微鏡とに分類できる。軟X線MCD顕微鏡としては、透過型、電子収量型、転換イオン収量型などが例示される。硬X線MCD顕微鏡としては、透過型、蛍光収量型などが例示される。

産業上の利用分野

本発明は、磁性体の磁化の向きまたは磁化の大きさを観察する方法、および、磁性体の磁化の向きまたは磁化の大きさを観察する装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
磁性体を含む試料における磁化の向き又は磁化の大きさを観察する方法であって、
前記試料に照射されることによって前記磁性体を構成する元素に特性X線を放射させる励起線を前記試料上の一領域に照射する照射工程と、
前記励起線の照射によって前記元素が発した前記特性X線を、円偏光成分の回転方向毎に検出した2つの強度として認識する検出工程と、
前記検出工程において認識された前記2つの強度の差を算出する算出工程と、
を含んでいることを特徴とする磁性体観察方法。

【請求項2】
前記励起線は、電磁波ビームである、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁性体観察方法。

【請求項3】
前記励起線は、X線を除く電磁波ビームである、
ことを特徴とする請求項2に記載の磁性体観察方法。

【請求項4】
前記励起線は、荷電粒子線である、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁性体観察方法。

【請求項5】
磁性体を含む試料における磁化の向きまたは磁化の大きさを観察する装置であって、
前記試料に照射されることによって前記磁性体を構成する元素に特性X線を放射させる励起線を発する励起線源と、
前記励起線の照射によって前記元素が発した前記特性X線を、円偏光成分の回転方向毎に右円偏光成分または左円偏光成分として検出する検出部と、
前記右円偏光成分の強度と前記左円偏光成分の強度との差に基づいて算出された算出値を出力させるデータ処理部と、
を備えていることを特徴とする磁性体観察装置。

【請求項6】
前記励起線源は、前記試料上の励起線照射位置が掃引されるように前記励起線を前記試料上に照射させ、
前記データ処理部は、前記算出値を前記励起線照射位置の掃引に伴い認識し、前記算出値を前記試料上の前記励起線が照射された領域に対応させて表示した画像として出力させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の磁性体観察装置。

【請求項7】
前記検出部は、前記特性X線に対する1/4波長板を具備する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の磁性体観察装置。

【請求項8】
前記検出部は、前記1/4波長板を透過した、直線偏光成分を含む前記特性X線に対して、偏光方向に対応して異なる強度を付与する偏光子を具備する、
ことを特徴とする請求項7に記載の磁性体観察装置。

【請求項9】
前記励起線は、電磁波ビームである、
ことを特徴とする請求項5~8の何れか1項に記載の磁性体観察装置。

【請求項10】
前記励起線は、X線を除く電磁波ビームである、
ことを特徴とする請求項9に記載の磁性体観察装置。

【請求項11】
前記励起線は、荷電粒子線である、
ことを特徴とする請求項5~8の何れか1項に記載の磁性体観察装置。

【請求項12】
前記励起線は、電子線であり、
走査型電子顕微鏡画像または透過型電子顕微鏡画像である顕微鏡画像を取得する画像取得部をさらに備え、
前記データ処理部は、前記顕微鏡画像と、前記励起線が照射された領域と、を対応させて表示した画像として出力させる、
ことを特徴とする請求項11に記載の磁性体観察装置。

【請求項13】
前記試料と前記検出部との間に前記特性X線を平行化する平行化光学系が設けられている、
ことを特徴とする請求項5~12の何れか1項に記載の磁性体観察装置。

【請求項14】
前記平行化光学系は、モンテル型多層膜ミラーにより構成されている、
ことを特徴とする請求項13に記載の磁性体観察装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2020507917thum.jpg
出願権利状態 公開


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