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皮膚バリア機能改善剤 NEW

国内特許コード P210017698
整理番号 4197
掲載日 2021年5月24日
出願番号 特願2014-089906
公開番号 特開2014-224109
登録番号 特許第6448214号
出願日 平成26年4月24日(2014.4.24)
公開日 平成26年12月4日(2014.12.4)
登録日 平成30年12月14日(2018.12.14)
優先権データ
  • 特願2013-092378 (2013.4.25) JP
発明者
  • 谷本 敦男
  • 植田 嘉文
  • 木本 友加里
  • 天野 渉
  • 椛島 健治
出願人
  • 日本たばこ産業株式会社
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 皮膚バリア機能改善剤 NEW
発明の概要 【課題】発明が解決しようとする課題は、JAK阻害剤の新規医薬用途を提供することである。
【解決手段】JAK阻害剤を有効成分として含有する、老人性乾皮症、皮脂欠乏症、湿疹及び接触皮膚炎からなる群から選択される皮膚疾患の治療剤又は予防剤。
【効果】JAK阻害剤は、JAK阻害剤が皮膚バリア機能関連タンパク質であるフィラグリン、ロリクリン、インボルクリン及びベータ‐デフェンシン3の発現量を上昇させること、Tape Stripping処理マウスにおいて有意にNMF産生を促進すること、及びドライスキンマウスモデルにおいてTEWLの減少を有意に促進すること即ち皮膚バリア機能を改善することを見出した。JAK阻害剤は、老人性乾皮症、皮脂欠乏症、湿疹、接触皮膚炎、尋常性魚鱗癬、ネザートン症候群又はB型ピーリング皮膚症候群等の皮膚疾患の治療剤又は予防剤の有効成分として用いることができる。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

ヤヌスキナーゼ(JAK)は、JAK1、JAK2、JAK3、およびTYK2を含む、細胞質タンパク質チロシンキナーゼ族である。

JAK阻害剤は、特許文献1、特許文献2及び特許文献3等に報告されている。

皮膚は、物理的な衝撃、温度、紫外線又は化学物質の暴露や感染などの外部刺激からの生体保護機能及び生体内部からの水分蒸散を防ぐ保湿機能といった皮膚バリア機能により、生体維持に重要な役割を果たしている。皮膚バリア機能は、表皮の最外層に位置する数層から数十層に規則正しく重なる角質層により発揮される。皮膚バリア機能の低下により、乾燥性皮膚疾患及び肌荒れ等の皮膚トラブルが生じることが知られている。

皮膚バリア機能関連タンパク質としては、フィラグリン、ロリクリン、インボルクリン、ベータ‐デフェンシン3等が知られている(非特許文献1)。

フィラグリンは、角質層直下の顆粒層に存在する角化細胞において前駆体であるプロフィラグリンとして産生される。顆粒細胞の最終分化の過程で、プロフィラグリンは分解されてモノマーであるフィラグリンになる。フィラグリンは、角化細胞内でケラチン繊維を凝集させることにより、角化細胞を角質層の角質細胞に特徴的な平坦な形へ変化させる。さらに、フィラグリンは角質層内でアミノ酸に分解、放出される。これらのアミノ酸は水溶性及び吸湿性が高く、天然保湿因子(Natural Moisturizing Factors:以下、NMFと略す)を構成する主な成分であると報告されている(非特許文献1)。

角化細胞におけるプロフィラグリンmRNA発現の促進によるフィラグリンタンパク質の産生促進により、NMFの成分である角質層内のアミノ酸量が増大し、角質層の保湿機能を本質的に改善させることが期待される。

ロリクリン及びインボルクリンは、角質細胞の細胞膜を裏打ちするコーニファイドエンベロープ(CE)を構成する重要なタンパク質である。ロリクリン及びインボルクリンは、角化細胞の分化過程において、有棘層から顆粒層にかけて産生され、酵素トランスグルタミナーゼによって角化細胞の細胞膜に架橋され、不溶性の細胞膜様構造体であるCEを形成し、角質細胞の細胞骨格及び構造の安定性に寄与する(非特許文献1)。しかし、様々な要因でロリクリンやインボルクリンの産生量が減少すると、コーニファイドエンベロープ(CE)形成が不完全な状態となり、角化が正常に行われなくなる。その結果、皮膚バリア機能が低下し、肌荒れや乾燥肌等の皮膚症状を呈するようになると考えられている。

ベータ‐デフェンシン3等の抗菌ペプチドは、皮膚において、病原菌の侵入に対して物理的バリアと共に最前線の生体防御に深く関与している(非特許文献2)。

皮脂および汗の分泌が減退し、皮膚が乾燥して光沢を失い粗造になった状態を乾皮症(皮脂欠乏症)という。米糠様の鱗屑および浅い亀裂を生じ、魚鱗癬様の外観を呈して軽度の掻痒を訴えることがある。加齢による変化の一つとして見られる場合がある。皮膚バリア機能が低下しているため、外的刺激を受けやすい。(非特許文献3)

接触皮膚炎とは、外来性の刺激物質や抗原(ハプテン)が皮膚に接触することによって発症する湿疹性の炎症反応をさす。皮膚バリア機能が低下すると接触皮膚炎を引き起こしやすくなると考えられている。接触皮膚炎は大きく刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎に分類される。(非特許文献4)

尋常性魚鱗癬は、四肢伸側を中心とした落屑とドライスキンを特徴とする、有病率の高い疾患である。尋常性魚鱗癬は一遺伝子が原因で起こる遺伝性の角化障害であり、フィラグリンをコードする遺伝子の変異により発症すること、フィラグリンタンパク質の欠乏または減少の程度により角化障害の程度が変化することが報告されている(非特許文献5)。

ネザートン症候群は、先天性魚鱗癬様紅皮症ないしアトピー性皮膚炎類似の皮疹を伴う遺伝性の重度な皮膚疾患であり、Lymphoepithelial Kazal-type-related inhibitor(LEKTI)をコードするセリンプロテアーゼインヒビターであるKazal-type 5(SPINK5)遺伝子の変異により生じる。LEKTIの欠乏は、表皮のプロテアーゼの活性亢進に引き続く角質層の脱離を引き起こす。この皮膚バリア機能の障害がアレルゲンの吸収にとって好ましく、ネザートン症候群患者におけるアトピー性皮膚炎の根底にある原因と考えられている。(非特許文献6)

ピーリング皮膚症候群は、表皮角質層の脱離を特徴とする疾患である。ピーリング皮膚症候群には、非炎症型のA型と炎症型のB型が知られている。corneodesmosinの機能を完全に喪失させるCDSNのナンセンス変異がB型ピーリング皮膚症候群を引き起こす。(非特許文献7)

従って、フィラグリン、ロリクリン、インボルクリン、ベータ・デフェンシン3等の発現を増加させることは、皮膚バリア機能を改善し、肌荒れや乾燥肌等の皮膚疾患、例えば、老人性乾皮症、皮脂欠乏症、湿疹、接触皮膚炎、尋常性魚鱗癬、ネザートン症候群及びB型ピーリング皮膚症候群の治療又は予防に有効であると考えられる。

産業上の利用分野

本発明は、JAK阻害剤の新規医薬用途に関する。より詳細には、JAK阻害剤を含有する皮膚バリア機能改善剤、JAK阻害剤を含有する老人性乾皮症、皮脂欠乏症、湿疹、接触皮膚炎等といった皮膚疾患の治療剤又は予防剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記化学構造式:
【化1】
(省略)
で示される化合物又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する、老人性乾皮症、皮脂欠乏症、尋常性魚鱗癬、ネザートン症候群及びB型ピーリング皮膚症候群からなる群から選択される皮膚疾患の治療剤又は予防剤。

【請求項2】
請求項1において選択される皮膚疾患が老人性乾皮症である請求項1に記載の治療剤又は予防剤。

【請求項3】
請求項1において選択される皮膚疾患が皮脂欠乏症である請求項1に記載の治療剤又は予防剤。

【請求項4】
請求項1において選択される皮膚疾患が尋常性魚鱗癬である請求項1に記載の治療剤又は予防剤。

【請求項5】
請求項1において選択される皮膚疾患がネザートン症候群である請求項1に記載の治療剤又は予防剤。

【請求項6】
請求項1において選択される皮膚疾患がB型ピーリング皮膚症候群である請求項1に記載の治療剤又は予防剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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