TOP > 国内特許検索 > フルカラー無機ナノ粒子インクとその作製方法、及びシリコンナノ粒子の作製方法

フルカラー無機ナノ粒子インクとその作製方法、及びシリコンナノ粒子の作製方法 UPDATE 新技術説明会

国内特許コード P210017729
整理番号 S2019-0617-N0
掲載日 2021年5月27日
出願番号 特願2019-200333
公開番号 特開2021-025023
出願日 令和元年11月1日(2019.11.1)
公開日 令和3年2月22日(2021.2.22)
優先権データ
  • 特願2019-144078 (2019.8.5) JP
発明者
  • 杉本 泰
  • 岡崎 拓真
  • 藤井 稔
出願人
  • 国立大学法人神戸大学
発明の名称 フルカラー無機ナノ粒子インクとその作製方法、及びシリコンナノ粒子の作製方法 UPDATE 新技術説明会
発明の概要 【課題】半永久的に変色・退色せず、単色性が高く、高解像度を実現できるインクを提供する。
【解決手段】本インクは、無機ナノ結晶コロイド分散液であって、無機ナノ結晶は、屈折率nが3以上の無機材料からなり、表面電位が正又は負の電位であり、粒径分布がターゲットとするインク色に応じた波長λを屈折率nで除算した値をピークとして標準偏差が±15%以内である。本インクに用いる無機材料は、消光係数が0.5以下であることが好ましく、さらに、球体形状であり、粒径分布のピーク値が90~200nmの範囲内であることが好ましい。また、無機ナノ粒子は、無機材料の固溶限界濃度より高濃度にホウ素とリンが粒子表面にドーピングされ、表面電位が正又は負に帯電したものを利用することが好ましい。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

従来から、シリコン粒子やシリカ粒子の分散物を利用して、インクジェット印刷法に適するインクとして使用することが研究・開発されている(例えば特許文献1を参照)。印刷プロセスは、非常に迅速かつ効率よく、大きな面積を効果的に被覆することができるからである。
シリコン粒子の場合、プリント回路用途として、例えば、ドーピングされたシリコン粒子のインクを特定位置に印刷プロセスにより塗布し、シリコン粒子を基板上に堆積させた位置において焼結などにより回路構造を作製するプロセスにインクを用いる。また、シリカ粒子の場合、光学用途として、例えば、ディスプレイ要素に対する印刷プロセスや、蛍光体特性を安定化させるため、蛍光体粒子をシリカ粒子のインクで被覆させるといった印刷プロセスにインクを用いる。

また近年、印刷法を利用した電子デバイスの製造が注目され、配線を塗布により形成できる銀ナノ粒子などを用いた導電性インクが研究・開発されている(例えば特許文献2を参照)。特許文献2に開示された銀ナノ粒子インクは、微細なプリント回路の配線を形成するためのインクジェット装置に適用すべく、銀ナノ粒子の分散安定性を向上させている。

このように無機ナノ粒子を用いたインクは、プリント回路用途やディスプレイ用途に向けて、分散性などの特性改善が行われている一方で、高解像度のカラープリンティングを実現する技術として注目されている。これはシリコンナノ粒子を2次元に配列して、高解像度のカラープリンティングを実現したものである(非特許文献1を参照)。以前から金属ナノ構造体の光吸収を利用した構造色(周期的な構造体からの散乱光間の干渉によって出される色)が提案されていたが、金属の場合には損失が大きく色空間が狭く、高解像度で高彩度の実現が困難であった。非特許文献1には、シリコンナノ粒子を2次元周期配列した高解像度カラープリンティング技術によれば、シリコンナノ粒子の2次元アレイから生成される色は、相互作用なく、独立して1ピクセル毎に色判別可能であり、回折限界の解像度(光の回折限界に近い解像度)が得られることが報告されている。

また、ナノ粒子の光学共鳴を利用した産業応用が研究されている。例えば、ステンドグラスやガラス工芸品の着色剤として、金や銀などの金属ナノ粒子が用いられているが、このような金属ナノ粒子の着色剤として作用する現象は、金属中の電子波の特異な性質である表面プラズモン共鳴によるものである。誘電率が負のナノ粒子はプラズモン共鳴を示すが、一方で、誘電率が正のナノ粒子はミー(Mie)共鳴を示すことが知られている。ミー共鳴とは、波長λ(nm)の光が物質(屈折率n)に入射した場合、物質中では実効波長λ/n(nm)となり、光の実効波長λ/n(nm)が粒子の直径に等しくなるときに定在波が形成され、最低次のミー共鳴、すなわち、電気的および磁気的双極子共鳴が光学領域に出現する現象である。
光学領域で大きな誘電率のシリコンは、波長より十分小さいナノ粒子でもミー共鳴を示すこと、シリコンナノ粒子の吸収断面積は狭帯域であるが、半径の異なるシリコンナノ粒子を用意することで広帯域の光吸収ができることが報告されている(非特許文献2を参照)。

産業上の利用分野

本発明は、無機ナノ結晶コロイド分散液を利用したフルカラー無機ナノ粒子インクとその作製方法、並びに、シリコンナノ粒子の作製方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
無機ナノ結晶コロイド分散液であって、
無機ナノ結晶は、屈折率nが3以上の無機材料からなり、表面電位が正又は負の電位であり、粒径分布がターゲットとするインク色に応じた波長λを前記屈折率nで除算した値をピークとして標準偏差が±15%以内である無機ナノ粒子インク。

【請求項2】
極性溶媒と、屈折率nが3以上の無機材料からなり前記溶媒中に分散して浮遊する表面電位が正又は負の電位を有する無機ナノ粒子、を備え、
粒径分布がターゲットとするインク色に応じた波長λを前記屈折率nで除算した値をピークとして標準偏差が±15%以内である無機ナノ粒子インク。

【請求項3】
前記無機材料は、消光係数が0.5以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無機ナノ粒子インク。

【請求項4】
前記無機ナノ粒子は、球体形状であり、粒径分布のピーク値が90~200nmの範囲内であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の無機ナノ粒子インク。

【請求項5】
前記無機ナノ粒子は、前記無機材料の固溶限界濃度より高濃度にホウ素とリンが粒子表面にドーピングされ、表面電位が正又は負に帯電したことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の無機ナノ粒子インク。

【請求項6】
前記無機ナノ粒子は、前記インク色が可視光の色である場合には、GaAs,GaP,Si,InPから選択される無機材料からなることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の無機ナノ粒子インク。

【請求項7】
前記インク色が異なり、前記無機ナノ結晶の表面電位が同一極性である請求項1~6の何れかの無機ナノ粒子インクを、2種以上混合させたことを特徴とする無機ナノ粒子インク。

【請求項8】
前記粒径分布は、2以上のピークを有し、各々のピークの粒径分布の標準偏差が±15%以内でそれらの合成分布であることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載の無機ナノ粒子インク。

【請求項9】
絶縁基板上、若しくは、絶縁体で表面が被覆された絶縁基板上に、屈折率nが3以上の無機ナノ結晶の無機材料と無機の不純物から成る薄膜を作製するステップと、
アニール処理して無機ナノ結晶を成長させると同時に、無機ナノ結晶の粒子表面に不純物をドーピングさせるステップと、
前記絶縁基板から酸を用いて無機ナノ結晶を取り出すステップと、
極性溶媒を置換して、無機ナノ結晶が分散した無機ナノ結晶コロイド分散液を調製するステップと、
無機ナノ結晶コロイド分散液における無機ナノ粒子の粒径を分離し、粒径がターゲットとするインク色に応じた波長λを無機ナノ粒子の屈折率nで除算した値となるように前記分散液中の粒径を揃えるステップ、
を備えた無機ナノ粒子インクの作製方法。

【請求項10】
前記無機ナノ結晶の粒子表面に不純物をドーピングさせるステップにおいて、
前記無機ナノ粒子の粒子表面に、前記無機材料の固溶限界濃度より高濃度にホウ素とリンをドーピングさせ、表面電位が正又は負に帯電させることを特徴とする請求項9に記載の無機ナノ粒子インクの作製方法。

【請求項11】
前記分散液中の粒径を揃えるステップは、密度勾配遠心分離法、又は、貧溶媒添加による粒径選別法を用いることを特徴とする請求項9に記載の無機ナノ粒子インクの作製方法。

【請求項12】
前記インク色が異なり、前記無機ナノ結晶の表面電位が同一極性である請求項1~6の何れかの無機ナノ粒子インクを、2種以上混合させるステップ、
又は、
請求項9~11の何れかの無機ナノ粒子インクの作製方法によって作製された無機ナノ粒子インクであって、前記インク色が異なり、前記無機ナノ結晶の表面電位が同一極性であるインクを、2種以上混合させるステップ、
を備えたことを特徴とする無機ナノ粒子インクの作製方法。

【請求項13】
請求項1~8の何れかの無機ナノ粒子インクを基板に塗布する場合において、
前記基板の表面を予め前記無機ナノ粒子の表面電位と逆極性に帯電させるステップと、
前記インクを用いて、前記基板の表面に塗布するステップ、
を備えたことを特徴とする無機ナノ粒子インクの塗布方法。

【請求項14】
前記基板の表面に塗布するステップにおいて、
先に塗布したインク色と異なる色の前記インクを更に上から塗布し、用いたインク色と異なる新たな色を前記基板の表面に形成するステップを備えたことを特徴とする請求項13に記載の無機ナノ粒子インクの塗布方法。

【請求項15】
請求項1又は2に記載の無機ナノ粒子インクにおける無機ナノ粒子として用いられる結晶性シリコンナノ粒子の作製方法であって、
一酸化ケイ素を単体シリコンの融点より高い温度条件下でアニーリングを施すステップと、
前記アニーリングにより得られた粒子をフッ化水素酸によりエッチングを施すステップ、を備えることを特徴とするシリコンナノ粒子の作製方法。

【請求項16】
前記アニーリングにおいて、
温度条件を制御することにより、前記シリコンナノ粒子の粒径制御を行うことを特徴とする請求項15に記載のシリコンナノ粒子の作製方法。

【請求項17】
前記シリコンナノ粒子の粒径制御は、粒径分布のピーク値が150~250nmの範囲内で行われることを特徴とする請求項15又は16に記載のシリコンナノ粒子の作製方法。

【請求項18】
前記シリコンナノ粒子は、電子顕微鏡像から得られる4π×(面積)/(周長の2乗)で定義される円形度が、平面内での公差域が径の5%だけ離れた二つの同心円の間の領域に存在することを特徴とする請求項15~17の何れかに記載のシリコンナノ粒子の作製方法。

【請求項19】
前記エッチングの後、極性溶媒でエッチング液を置換するステップと、
前記極性溶媒の分散液中で前記結晶性シリコンナノ粒子の粒径を揃えるステップと、
粒径が揃った前記分散液に透明性又は透光性樹脂を混練するステップと、
前記混練によって得られる流動体を成形するステップ、を更に備えることを特徴とする請求項15~18の何れかに記載のシリコンナノ粒子の作製方法。

【請求項20】
前記成形するステップは、ガラス基板又は樹脂基板に成膜するステップであることを特徴とする請求項19に記載のシリコンナノ粒子の作製方法。

【請求項21】
前記シリコンナノ粒子の粒径を揃えるステップは、密度勾配遠心分離法、又は、貧溶媒添加による粒径選別法を用いることを特徴とする請求項19に記載のシリコンナノ粒子の作製方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2019200333thum.jpg
出願権利状態 公開
神戸大学連携創造本部では、神戸大学で創出された知的財産の管理,活用等を行っています。上記の公開特許に関心のある方は、下記「問合せ先」まで直接お問い合わせ下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close