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Aβタンパク質特異的産生抑制剤 NEW

国内特許コード P210017900
整理番号 (S2018-0917-N0)
掲載日 2021年9月27日
出願番号 特願2020-538387
出願日 令和元年8月20日(2019.8.20)
国際出願番号 JP2019032345
国際公開番号 WO2020040106
国際出願日 令和元年8月20日(2019.8.20)
国際公開日 令和2年2月27日(2020.2.27)
優先権データ
  • 特願2018-154788 (2018.8.21) JP
発明者
  • 舟本 聡
  • 延原 美香
  • 河村 聖子
出願人
  • 学校法人同志社
発明の名称 Aβタンパク質特異的産生抑制剤 NEW
発明の概要 Aβタンパク質の産生を特異的に阻害し、アルツハイマー病に対する治療及び/又は予防の為の薬剤の有効成分となる化合物を提供する。本発明にかかるAβタンパク質特異的産生抑制剤は、配列番号1に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)を含み、βセクレターゼ及びγセクレターゼの双方の活性を阻害することを特徴とする。配列番号1に記載されているアミノ酸配列からなるペプチドはアルツハイマー病の予防及び/又は治療に利用できる。
従来技術、競合技術の概要

認知症は85歳以上の日本人口の約25%が発症するcommon diseaseであるが、アルツハイマー病(Alzheimer's disease)がそのうち約半数を占めている。アルツハイマー病は、認知機能低下や人格の変化を主な症状とする認知症の一種である。現在の日本には300万人を超えるアルツハイマー病患者が推計され、今後の高齢化に従い患者数は増加の一途を辿る。

アルツハイマー病の発症のメカニズムとしてアミロイドカスケード説が提唱されている。アミロイドカスケードとは、加齢に伴うアミロイド蓄積が引き金となり、炎症反応、異常蛋白であるタウの神経細胞内蓄積、最終的には神経細胞の機能不全や変性(細胞死)に至る複雑な経路の呼称である。即ち、非特許文献1及び非特許文献2に記載されるように、Aβタンパク質は、細胞膜貫通タンパク質であるアミロイド前駆体タンパク質(以下、本明細書にてAPPと称することがある。)がβセクレターゼによって切断された細胞膜貫通タンパク質であるβCTF(C99)が、更にγセクレターゼにて切断されて細胞膜から遊離し、脳内にて蓄積するものと考えられている。

γセクレターゼにて切断されたC99はAβタンパク質と、AICDとに分けられることが知られており、APPがβセクレターゼによって切断されることにより、sAPPβが遊離することも知られている(図1)。

以上のことから、βセクレターゼの阻害剤及びγセクレターゼの阻害剤は、アルツハイマー病の原因タンパク質である、Aβタンパク質の蓄積を抑制する効果を発揮する剤として考えられる。

ところが、それぞれ膜貫通タンパク質であるPen-2、プレセニリン、ニカストリン、及びAph-1を含む複合体として知られるγセクレターゼは、アスパラギン酸プロテアーゼに属し、上述のAPPのみならずAPLP1、APLP2、Notch、Jagged2、Delta1、E-cadherin、N-cadherin、CD44、ErbB4、Nectin1、LRP1等といった膜貫通タンパク質、レセプター等も基質とするプロテアーゼである。

従って、Aβタンパク質の産生抑制作用を得るために、L-685,458、DAPT、LY-411,575等といったγセクレターゼの活性阻害剤を使用すれば、上述のC99以外のタンパク質に対するγセクレターゼのプロテアーゼとしての酵素活性までもが抑制されてしまい、かかる阻害剤をそのまま薬剤として用いれば、副作用が生じるといった可能性が危惧されている。

例えば、γセクレターゼの阻害剤の1つであるLY-411,575は、胸腺を萎縮させることや脾臓における成熟B細胞の細胞数を減少させること等が報告されており、このような阻害剤をそのまま医薬組成物とした場合、免疫等の点で副作用を引き起こす可能性が示唆されている(非特許文献3)。さらに、γセクレターゼの酵素活性そのものを低下させると、皮膚の異常、扁平上皮ガン、脾臓の肥大等を引き起こすことも報告されている(非特許文献4)。

非ステロイド性抗炎症薬(以下、本明細書でNSAIDsと称することがある。)がAβタンパク質の産生抑制剤として有効であるといった知見が存在するが、いくつかの家族性アルツハイマー病(例えば、プレセニリンの変異を有する場合。)には、効果がないことが知られている(非特許文献5)。さらに軽度認知障害やアルツハイマー病患者から分離したγセクレターゼは活性が変化しており、Aβ42を低下させるγセクレターゼモヂュレーターの効果が低いことがわかった(非特許文献6)。

また、βCTFの細胞外領域であるN末端にFLAGタグを付して発現させた場合、抗FLAG抗体の存在下では、γセクレターゼによる分解が見られない(非特許文献7)。

特許文献1と2には、γセクレターゼが切断するたんぱく質の特性(長さ)に着目し、γセクレターゼがAβのもととなるたんぱく質(C99)の先端部分を捕らえて切断することにより、Aβを産生することに着目し、そして、C99の先端部分に結合するベプチド試薬(C99結合ペプチド)を開発し、その効果を検討したところ、γセクレターゼがC99の先端部分を捕らえることができず、切断できないことが記載されている。

産業上の利用分野

本発明は、Aβタンパク質特異的産生抑制剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
S4ペプチド(FGBTWDYWVYR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)のN末側及び/又はC末側に、一つ又は複数のRを付加したS4’ペプチド、又は、
該S4’ペプチドのアミノ酸配列においてV又は該VのC末側のYが欠失又は置換されているアミノ酸配列からなるS4’’ペプチド
を含み、βセクレターゼ及び/又はγセクレターゼの活性を阻害することを特徴とする、Aβタンパク質特異的産生抑制剤。

【請求項2】
配列番号1に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)を含み、βセクレターゼ及び/又はγセクレターゼの活性を阻害することを特徴とする、請求項1記載のAβタンパク質特異的産生抑制剤。

【請求項3】
配列番号1に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)を含み、βセクレターゼの活性を阻害することを特徴とする、請求項1記載のAβタンパク質特異的産生抑制剤。

【請求項4】
配列番号1に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)を含み、γセクレターゼの活性を阻害することを特徴とする、請求項1記載のAβタンパク質特異的産生抑制剤。

【請求項5】
配列番号3に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)を含み、βセクレターゼ及び/又はγセクレターゼの双方の活性を阻害することを特徴とする、請求項1記載のAβタンパク質特異的産生抑制剤。

【請求項6】
配列番号4に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(RFGBTWDYWVYR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)を含み、βセクレターゼ及び/又はγセクレターゼの双方の活性を阻害することを特徴とする、請求項1記載のAβタンパク質特異的産生抑制剤。

【請求項7】
配列番号6に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)を含み、βセクレターゼ及び/又はγセクレターゼの双方の活性を阻害することを特徴とする、請求項1記載のAβタンパク質特異的産生抑制剤。

【請求項8】
配列番号7に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)を含み、βセクレターゼ及び/又はγセクレターゼの双方の活性を阻害することを特徴とする、請求項1記載のAβタンパク質特異的産生抑制剤。

【請求項9】
配列番号1に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)、配列番号3に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)、配列番号4に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(RFGBTWDYWVYR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)、配列番号6に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)、又は、配列番号7に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)を含むことを特徴とする、アルツハイマー病の予防及び/又は治療剤。

【請求項10】
配列番号1に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)。

【請求項11】
配列番号3に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)。

【請求項12】
配列番号4に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(RFGBTWDYWVYR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)。

【請求項13】
配列番号6に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)。

【請求項14】
配列番号7に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)。

【請求項15】
アルツハイマー病を治療及び/又は予防するための、医薬の製造のための、配列番号1にて示されるアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)、配列番号3に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)、配列番号4に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(RFGBTWDYWVYR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)、配列番号6に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)、又は、配列番号7に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)の使用。

【請求項16】
軽度認知障害(MCI)を治療及び/又は予防するための、医薬の製造のための、配列番号1にて示されるアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)、配列番号3に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVYRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)、配列番号4に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(RFGBTWDYWVYR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)、配列番号6に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWYRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)、又は、配列番号7に記載されているアミノ酸配列からなるペプチド(FGBTWDYWVRRR、BはL-4,4’ビフェニルアラニン残基である)の使用。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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