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複合酸化物、金属担持物及びアンモニア合成触媒 NEW

国内特許コード P210017907
整理番号 AF40-05WO
掲載日 2021年9月27日
出願番号 特願2020-518297
出願日 令和元年5月7日(2019.5.7)
国際出願番号 JP2019018225
国際公開番号 WO2019216304
国際出願日 令和元年5月7日(2019.5.7)
国際公開日 令和元年11月14日(2019.11.14)
優先権データ
  • JP2018034515 (2018.9.18) WO
  • 特願2018-089516 (2018.5.7) JP
  • 特願2019-059200 (2019.3.26) JP
発明者
  • 永岡 勝俊
  • 小倉 優太
  • 佐藤 勝俊
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 複合酸化物、金属担持物及びアンモニア合成触媒 NEW
発明の概要 本発明は、一般式(6)の組成で示される金属元素を含む複合酸化物であって、Aの酸化物とXの酸化物との混合状態である複合酸化物である。
(6)
(前記一般式(6)において、Aは、Sc,Y及びIII価のランタノイドからなる群より選ばれる元素を表し、Xは、Ca,Sr,Baからなる群から選ばれる元素を表し、nは0<n<1であり、yは0<y<1であり、n+y=1である)。また、本発明は、この複合酸化物にコバルト粒子が担持されたことを特徴とする金属担持物である。
従来技術、競合技術の概要

アンモニアは、現代の化学産業における重要な原料である。生産されるアンモニアの80%以上は、耕作物用の化学肥料を製造するのに使用されている。さらに、アンモニアは、エネルギーと水素のキャリヤとして多くの注目を集めている。そのわけは、(1)その水素含有量が多く(17.6wt%)、(2)エネルギー密度が高く(12.8GJ/m)、(3)水素を製造するため分解した際に二酸化炭素が発生しないからである。太陽エネルギーや風力などの再生可能エネルギーから効率的にアンモニアを製造することが可能になれば、エネルギー及び食糧危機に関連した地球規模の問題が軽減されよう。

現在、アンモニアを製造するのに用いられているハーバー・ボッシュ法は、エネルギーを大量に消費しており、その量は世界のエネルギー消費量の約1~2%を占めている。この方法では、消費エネルギーの約60%が回収されて、アンモニアのエンタルピーとして確保される。しかしながら、残りのエネルギーの大部分は、天然ガスからの水素の製造時、アンモニアの合成時、及びガスの分離時に失われている。ハーバー・ボッシュ法によるアンモニア合成は非常に高い温度(>450℃)と圧力(>20MPa)で行われるので、この方法で使われる大量のエネルギーを低減することが求められている。地球規模のエネルギー消費量を抑制するには、ハーバー・ボッシュ法で用いられている鉄ベースの触媒よりも温和な条件(より低い温度と圧力)下でアンモニアを合成することができる触媒が必要とされている。

近年、1MPa(10気圧)程度の低圧条件下でアンモニアを製造する方法が知られている。アンモニア製造に用いられるルテニウム触媒は、一般に担体に担持される。例えば、特許文献1には、ルテニウムを担持させる担体として希土類酸化物を用いると、ルテニウムの使用量を低減でき、かつ反応温度を低くできることが開示されている。しかしながら、特許文献1のアンモニア製造方法では、より低圧条件下においてアンモニアを製造する場合のアンモニア収率が十分なものではなかった。そこで、本発明者らは、650℃で還元されたLa0.5Ce0.51.75を担体とするルテニウム触媒を開発し、低圧条件下でも優れた特性を示すことを報告した(非特許文献4)。

特許文献1、及び非特許文献4以外にも、種々の希土類酸化物担体にルテニウムを担持させたアンモニア合成触媒が様々な特許文献に開示されている。代表的なものとして、特許文献2~4、非特許文献1~3を挙げることができる。特許文献2と特許文献4にはランタノイド酸化物が、特許文献3には酸化プラセオジムが、非特許文献1にはCe酸化物が、担体として開示されている。非特許文献2には、Ru,Ce,Laの水酸化物を共沈させ、乾燥、活性化させて製造した、Ru/CeO-La系の触媒が開示されている。

特許文献1,2,4、非特許文献1を含む従来技術の文献には、アンモニア合成に用いられるルテニウム触媒はその担体表面にRuが粒子として存在することが記載されている。粒子として存在する場合、その平均直径は5nmより大きいとの報告がある(非特許文献2参照)、及び、2nm未満との報告がある(非特許文献4)。また、特許文献3においては、Ruはエッグシェル構造であると記載されている。
一方、担体については、非特許文献3には、Ruが担持されたY(La)-M-O(Mは、Ca,Sr,Ba)触媒のアンモニア合成活性を評価するにあたり、Ruを担持する前の担体酸化物について、担体体酸化物の焼成温度を450℃としたものは比表面積が大きく、焼成温度を650℃まで上げた担体は比表面積が減少したことが記載されている。
また、Ruが高価であることに鑑み、担体にRu以外の遷移金属化合物、例えばCoを担持させたアンモニア合成用触媒も提案されている(例えば、非特許文献5、非特許文献6参照)。しかしながら、非特許文献6では、コバルトをバリウム酸化物に担持させたCo-BaO/Cを開示しているが、アンモニア合成活性が低かった。また、非特許文献5では、酸化物ではなくカルシウムアミドを使用しているが(Co/Ba-Ca(NH))、該Coを担持させた触媒の1MPaにおけるアンモニア収率は、Ruを担持させた触媒には及ばなかった。

合成用触媒には一般に高い合成活性が求められる。開発途上にあるアンモニア合成用のルテニウム触媒に関しても、より高い収率を可能にする高活性のものが引き続き求められている。1モルの窒素と3モルの水素から2モルのアンモニアを合成する平衡反応においては、化学平衡上は高圧条件の方がアンモニア収率を向上させるために都合が良いはずである。したがって、1MPaでの反応に変えて、1MPaより高い圧力で反応させることでアンモニア収率を向上させることが考えられる。しかしながら、公知のアンモニア合成用のルテニウム触媒は、水素による被毒で触媒活性が低下しやすい。既存のRu系の触媒は、ハーバー・ボッシュ法よりも低圧条件下において高いアンモニア合成活性を目指す目的のものが多いが、高圧条件にして収率を向上させることは適していない。

また、触媒は合成反応器に装填されて使用され定期的に交換する必要があることから、その取り扱いが容易であることも求められる。アンモニア合成用のルテニウム触媒に関しても、取り扱いやすさの向上がやはり引き続き求められている。

産業上の利用分野

本発明は、温和な条件下でのアンモニアの合成において有用な複合酸化物、これを用いた金属担持物及びアンモニア合成触媒並びに該複合酸化物の製造方法、該金属担持物の製造方法及びアンモニアの製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(6)の組成で示される金属元素を含む複合酸化物であって、Aの酸化物とXの酸化物との混合状態である複合酸化物
(6)
(前記一般式(6)において、
Aは、Sc,Y及びIII価のランタノイドからなる群より選ばれる元素を表し、
Xは、Ca,Sr,Baからなる群から選ばれる元素を表し、
nは0<n<1であり、
yは0<y<1であり、
n+y=1である)。

【請求項2】
一般式(7)の組成で示される金属元素を含む複合酸化物であって、Aの酸化物とXの酸化物との混合状態である複合酸化物
(7)
(前記一般式(7)において、
Aは、Sc,Y及びIII価のランタノイドからなる群より選ばれる元素を表し、
Xは、Ca,Sr,Baからなる群から選ばれる元素を表し、
nは0<n<1であり、
yは0<y<1であり、
n+y=1であり、
xは複合酸化物が電気的に中性を保つのに必要な酸素原子の数を表わす)。

【請求項3】
前記AがSc,Y,La,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm及びLuからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合酸化物。

【請求項4】
前記AがLaであり、前記XがBaであることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合酸化物。

【請求項5】
炭酸イオンの量が、前記Xに対して10mol%以下である請求項1又は2に記載の複合酸化物。

【請求項6】
前記Aの酸化物粒子の表面に前記Xの酸化物粒子が堆積してなることを特徴とする請求項5に記載の複合酸化物。

【請求項7】
一般式(6A)の組成で示される金属元素を含む複合酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の複合酸化物
(6A)
(前記一般式(6A)において、
A及びXは請求項1で定義したとおりであり、
Mは、周期表第1族元素、Ca,Sr,Baからなる群から選ばれる第2族元素、又はランタノイドのいずれかであり、かつ前記A及び前記Xと異なる元素を表し、
nは0<n<1であり、
yは0<y<1であり、
mは0≦m<1であり、
n+y+m=1である。)。

【請求項8】
前記複合酸化物が、正方晶又は立方晶の、固溶体を含む、請求項7に記載の複合酸化物。

【請求項9】
複合酸化物に含まれる各元素A、X、Mの少なくとも1つは、酸化物の状態における酸素の部分負電荷(-δ)の値が0.50以上の強塩基性元素である、請求項7に記載の複合酸化物。

【請求項10】
複合酸化物に含まれる各元素の組成比をni(i=A、X、M、Oを含む複合酸化物中の全元素を示す)とし、各元素のサンダーソン電気陰性度をχi(i=A、X、M、Oを含む複合酸化物中の全元素を示す)としたときに、下記式(A)で示される酸素の部分負電荷の値(-δ)が0.52以上である、請求項7に記載の複合酸化物。
((Π(χini))^(1/Σni)―5.21)/-4.75 ・・式(A)

【請求項11】
前記一般式(6A)におけるXはBaであって、前記複合酸化物に含まれる炭酸イオンの量が、Baに対して10mol%以下であることを特徴とする、請求項7に記載の複合酸化物。

【請求項12】
請求項1に記載の複合酸化物にコバルト粒子が担持されたことを特徴とする金属担持物。

【請求項13】
前記Aの酸化物及び前記Xの酸化物の微粒子からなる層を前記コバルト粒子上に有することを特徴とする請求項12に記載の金属担持物。

【請求項14】
パルス化学吸着法により求めたCo分散度の値(Dads)と、TEM像から求めたCo粒子の平均粒子径から期待されるCo分散度の値(DTEM)との比が、
0<Dads/DTEM<1
であること特徴とする請求項12に記載の金属担持物。

【請求項15】
前記複合酸化物上に担持された前記コバルト粒子の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする請求項12に記載の金属担持物。

【請求項16】
請求項12に記載の金属担持物を用いたことを特徴とするアンモニア合成用触媒。

【請求項17】
請求項12に記載の金属担持物の製造方法であって、
前記Aを含むA前駆体、及び前記Xを含むX前駆体を混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物を600℃以上の温度で焼成して複合酸化物からなる担体を得る焼成工程と、
前記複合酸化物にコバルトを含む化合物を担持させて還元処理前担持物を調製する担持工程と、
前記還元処理前担持物を400℃以上の温度で還元処理する還元工程と、を含むことを特徴とする金属担持物の製造方法。

【請求項18】
水素と窒素を触媒と接触させて、アンモニアを製造する方法であって、前記触媒が、請求項16に記載のアンモニア合成用触媒であることを特徴とするアンモニアの製造方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 再生可能エネルギーからのエネルギーキャリアの製造とその利用のための革新的基盤技術の創出 領域
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