TOP > 国内特許検索 > インテリアCTの画像再構成方法

インテリアCTの画像再構成方法 UPDATE

国内特許コード P210017933
掲載日 2021年10月18日
出願番号 特願2018-508547
登録番号 特許第6760611号
出願日 平成29年2月15日(2017.2.15)
登録日 令和2年9月7日(2020.9.7)
国際出願番号 JP2017005515
国際公開番号 WO2017169232
国際出願日 平成29年2月15日(2017.2.15)
国際公開日 平成29年10月5日(2017.10.5)
優先権データ
  • 特願2016-071935 (2016.3.31) JP
発明者
  • 工藤 博幸
  • 根本 拓也
出願人
  • 国立大学法人筑波大学
発明の名称 インテリアCTの画像再構成方法 UPDATE
発明の概要 【課題】 より実用的な先験的知識を用いた厳密なインテリアCTの画像再構成方法を提供する。
【解決手段】 インテリアCTの画像再構成方法であって、撮影対象内部のROIを通過する量子ビームにより投影データを取得し、得られた投影データを用いてCTの画像再構成法により第1段階の近似的な再構成を行い、再構成したCT画像に基づいてROI内において物理量を表す画像数値が少なくとも区分的に一様または区分的に多項式で表される領域を特定し、物理量が少なくとも区分的に一様または区分的に多項式で表されると特定した領域の位置とその内部で物理量が区分的に一様または区分的に多項式で表される性質を用いて、前記第1段階の再構成よりも精度の高い第2段階の再構成を行う。
【選択図】図6
従来技術、競合技術の概要

まず、インテリアCT(コンピュータトモグラフィー)と呼ばれるCT撮影の方法について説明する。一般的に、CTイメージングの多くの状況においては、対象物(試料)内の小さな関心領域(ROI:Region of Interest)だけの画像が欲しい場合が生じる。例えば、医療用CTを用いた心臓病や乳がんの診断では、心臓や乳房を含む小さなROIの画像だけがあれば十分である。現在のCT装置の構成方式やデータ収集法は、このようなROIだけの画像で十分な場合であっても、ROIを含む断面を完全に覆うX線ビームを照射して、即ち、ROIのみではなく、対象物断面を通過する全ての直線上の投影データを測定するものになっている(図1(a)を参照)。これは、CT装置の画像再構成に用いられる計算手順であるフィルタ補正逆投影(FBP:Filtered Backprojection)法において、ROI画像を生成するのにROIを通過しない直線上の投影データも必要になるためである。しかし、直感的には、ROIを通過しない直線上の投影データはROIの情報を全く含んでいないため、不必要なことが予想される。そこで、ROIだけにX線を照射して、ROIを通過する(全ての)直線上の投影データのみを測定してROIの画像のみを生成するCT撮影の方法が、インテリアCTである(図1(b)を参照)。

このインテリアCTには、不必要な投影データを無駄に測定する従来のCTと比較して、様々な長所がある。例えば、(1)ROI外部の被曝量(試料損傷)の大幅な低減、(2)検出器サイズやX線ビーム幅の削減、(3)視野に収まらない大きい物体の撮影が可能になること、(4)物体の小視野だけにX線を照射して拡大撮影する高分解能CTイメージングが可能になること等が挙げられる。

一方、インテリアCTでは、ROIを通過しない直線上の投影データは測定されないため、一部が欠損した不完全投影データから画像再構成を行う手法が必要となる。より正確に、上記したインテリアCTにおける画像再構成問題の定義を述べると、以下のようになる。即ち、対象物f(x,y)と画像化の対象となるROI Sを考える(図2(a)を参照)。そして、直線がROI Sを通過する投影データp(r,θ)(rは動径、θは角度)のみが測定可能であるとする。ただし、簡単のため、平行ビームによる投影データ収集を想定している。この場合、直線がROI Sを通過しないp(r,θ)は測定されないため、各角度θの投影データは、左右がトランケーションされて欠損することになる。このようなトランケーションされた投影データからROI Sにおいて画像f(x,y)を正しく再構成する問題が、所謂、インテリアCTの画像再構成である。

なお、この問題は長年多くの研究が行われてきており、以下に概略する。まず、非特許文献1では、Nattererは、インテリアCTの画像再構成は解が「一意」に定まらないことを数学的に証明し(ここで、一意とは、画像再構成の解が投影データから唯一に決まり数学的に正しい画像再構成が可能なことを指す)、この非一意性が知られていたため、多くの近似的な画像再構成法が研究されてきた。

例えば、その代表的な手法として、(1)各方向投影データ左右の欠損部分を滑らかな関数で外挿してから画像再構成する手法、(2)不完全な投影データのまま逐次近似法により画像再構成を行う手法などが研究されたが、近似誤差によるアーティファクトが発生して実用に至らなかった(非特許文献2、3、4)。このインテリアCTにおいて発生する典型的なアーティファクトの例を示すと、画像低周波成分に歪みが発生するシェーディングアーティファクト(図3(a)を参照)やROI周辺部で値が増大するカッピング効果(図3(b)を参照)が発生し、画像の値が安定に定まらないことが知られている。

これらの先行研究に対し、インテリアCTの厳密な画像再構成法が互いに独立に発見され(非特許文献5、6)、これらの論文では、「ROI Sの内部にある任意の小さな領域B(即ち、図2(a)においてROI Sの内部にある丸印の領域)において画像f(x,y)の値が事前に既知である」という先験的知識があれば、インテリアCTの画像再構成の解は一意に定まることを証明した。驚くことに、解の一意性を保証するための領域Bはいくら小さくともROI S内のどの場所にあっても良い(ただし、一点ではだめ)。なお、この成果は、既に、米国特許である特許文献1として知られている。

一方、Yuらにより、別の先験的知識を用いて厳密な画像再構成を可能にする手法が発見されており(非特許文献7)、この論文では、圧縮センシングと呼ばれる、不足した測定データから高精度で信号復元を行う手法に基づき、「画像f(x,y)がROI Sの全体で区分的一様であれば、インテリアCTの画像再構成の解は一意に定まる」ことを証明した。ただし、区分的一様とは、数値ファントムのように、画像が完全な一定値を持つ有限個の領域で構成されていることを指す(図2(b)を参照)。なお、この成果は、既に、米国特許として知られている(特許文献2)。

産業上の利用分野

本発明は、物体内部における物理量分布の線積分値を測定してデータ処理により物理量分布を画像生成する画像再構成方法に関し、特に、インテリアCTの画像再構成方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
インテリアCTの画像再構成方法であって、撮影対象内部のROIを通過する量子ビームにより投影データを取得し、前記で得られた投影データを用いてCTの画像再構成法により第1段階の近似的な再構成を行い、前記で再構成したCT画像に基づいて前記ROI内において物理量を表す画像の数値が少なくとも区分的に一様または区分的に多項式で表される領域を特定し、前記画像の数値が少なくとも区分的に一様または区分的に多項式で表されると特定した領域の位置とその内部で前記画像の数値を区分的に一様または区分的に多項式で表すことにより、前記第1段階の再構成よりも精度の高い第2段階の再構成を行うことを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項2】
インテリアCTの画像再構成方法であって、撮影対象内部のROIを通過する量子ビームにより投影データを取得し、前記ROI内において物理量を表す画像の数値が少なくとも区分的に一様または区分的に多項式で表される領域を、前記ROI内の一部に予め固定して配置して、当該領域の位置とその内部で前記画像の数値を区分的に一様または区分的に多項式で表すことにより、精度の高い再構成を行うことを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項3】
前記請求項1或いは2に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記物理量を表す投影データの数値が、当該撮影対象による前記量子ビームの吸収により得られることを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項4】
前記請求項1或いは2に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記物理量を表す投影データの数値が、当該撮影対象による前記量子ビームの位相シフトにより得られることを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項5】
前記請求項1或いは2に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記物理量を表す投影データの数値が、当該撮影対象による前記量子ビームの回折により得られることを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項6】
前記請求項1或いは2に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記物理量を表す投影データの数値が、当該撮影対象による前記量子ビームの散乱により得られることを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項7】
前記請求項4~6の何れか1項に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記量子ビームの位相シフト、回折、又は回折を含む前記投影データの数値は、光学素子の追加あるいはその位置変更により検出器で取得した複数の前記量子ビームの強度データのセットから抽出され、当該抽出された前記量子ビームの位相シフト、回折、又は回折を含む前記投影データの数値を用いて画像を再構成することを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項8】
前記請求項1に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記ROI内において特定される前記少なくとも区分的に一様または区分的に多項式な領域は、前記第1段階の近似的な再構成により得られたCT画像を使用して人間が手動で設定することを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項9】
前記請求項1に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記ROI内において特定される前記少なくとも区分的に一様または区分的に多項式な領域は、前記第1段階の近似的な再構成により得られたCT画像を使用して画像処理により設定することを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項10】
前記請求項1に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記第1段階の近似的な再構成により得られたCT画像を使用して前記ROI内で特定される前記少なくとも区分的に一様または区分的に多項式な領域は、前記ROI内で、前記撮影対象の以前に取得したCT画像からの特定、前記撮影対象の構造を表すモデルや先験情報からの特定の少なくとも一つにより予め設定されていることを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項11】
前記請求項1に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記第1段階の近似的な再構成を、フィルタ補正逆投影(FBP)法、逐次近似法、統計的再構成法を含む従来のCTの画像再構成法の少なくとも一つにより実行することを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項12】
前記請求項1に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記第2段階の再構成を、微分逆投影ヒルベルト変換法、拘束条件付き逐次近似法、及び、拘束条件付き統計的再構成法を含むCTの画像再構成法の少なくとも一つにより実行することを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項13】
前記請求項9に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記第1段階の近似的な再構成により得られたCT画像を使用して前記ROI内で特定される前記少なくとも区分的に一様または区分的に多項式な領域は、前記ROIの境界の一部を含んで形成されていることを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項14】
前記請求項2に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記ROI内に予め設定された領域は、前記ROIの境界の一部を含んで形成されていることを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。

【請求項15】
前記請求項2に記載したインテリアCTの画像再構成方法において、前記ROI内に予め設定された領域の位置とその内部で前記画像の数値が区分的に一様または区分的に多項式で表すことによる再構成を、微分逆投影ヒルベルト変換法、拘束条件付き逐次近似法、及び、拘束条件付き統計的再構成法を含むCTの画像再構成法の少なくとも一つにより実行することを特徴とするインテリアCTの画像再構成方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2018508547thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) イメージサイエンス研究室
この特許について質問等ある場合は、電子メールによりご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close