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導電材、およびこれを利用した導電膜ならびに太陽電池 UPDATE

国内特許コード P210017946
整理番号 2291
掲載日 2021年11月1日
出願番号 特願2020-039321
公開番号 特開2021-140999
出願日 令和2年3月6日(2020.3.6)
公開日 令和3年9月16日(2021.9.16)
発明者
  • 野田 優
  • 謝 栄斌
出願人
  • 学校法人早稲田大学
発明の名称 導電材、およびこれを利用した導電膜ならびに太陽電池 UPDATE
発明の概要 【課題】高い導電性と大気環境中での長期間安定性、高温安定性(耐熱性)および高湿安定性を実現できる導電材、およびこれを利用した導電膜ならびに太陽電池を提供する。
【解決手段】導電材6は、カーボンナノチューブ(CNT)とポリスチレンスルホン酸(PSS酸)との混合物を含み、構造的に安定なCNTのネットワーク構造と、化学的に安定なPSSの特徴を生かし、CNT表面にPSSを薄く吸着させるものである。当該PSSは塩やエステル等の化合物ではなく酸であり、混合物中の硫黄(S)と炭素(C)の元素比(S/C比)を原子数比で0.001以上0.1以下とすることができ、混合物中において、CNTとPSS酸とを合わせた含有率を10wt%以上とすることができる。導電材6で構成される導電膜7は、CNTの面積載量を1mg/m2以上10000mg/m2以下とすることができる。太陽電池は、導電膜7を半導体表面に備えることができる。
【選択図】図5
従来技術、競合技術の概要

カーボンナノチューブ(以下、CNTともいう)は、特有の1次元構造、優れた固有の電気ならびに電子特性、および高い化学安定性や熱安定性のために、電子機器、エネルギー装置等の分野で広く応用されている。

CNTは柔軟性と軽量性に優れた導電材料であり、透明導電膜、透明ヒータ、軽量導電性ワイヤー等、多様な応用が検討されているが、導電性がやや不足しているのが現状である。CNTに対する各種ドーパントが知られているが、安定で高性能なドーピングは実現していない。したがって、CNT導電性向上のために多様なドーパントが検討されてきた。

例えば、代表的なドーパントとしてSOCl2、HNO3、HAuCl4等があり、ドーパントがCNT表面に吸着して電子を奪うことで、CNTを強くp型にドーピングし、CNTの導電性が向上する。しかしながら、これらのドーパントは短時間で脱離するので、安定性に乏しい。一方、ポリ(3, 4-エチレンジオキシチオフェン)(以下、PEDOTともいう)は導電性高分子の代表格で、ポリ(スチレンスルホン酸)(polystyrene sulfonic acid、以下、PSS酸ともいう)によりp型にドーピングすることで高い導電性を発現するが、PEDOTが時間とともに凝集し導電性が低下する。

CNTのドーピングによる導電性向上の研究は多数あるが、PSS酸をドーパントとしたCNT導電膜の先行技術は見当たらない。一方、PSS酸ないしポリ(スチレンスルホン酸)化合物(polystyrene sulfonate、以下、PSS酸化合物ともいう)の水溶液またはエタノール溶液がCNTの分散に有効なことが一部で報告されている(例えば、非特許文献1~3、特許文献1および2)。PSS酸化合物にはPSS酸塩とPSS酸エステルがあるが、非特許文献2および3では特に、PSS酸Na塩(poly(sodium styrene sulfonate)、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム))がCNTの良好な分散剤であることが報告されている。PSS酸とPSS酸化合物は、いずれもPSSと略記されることが多いが、PSS酸は強酸である一方、PSS酸化合物は塩ないしエステルであるため性質が大きく異なる。

CNTの液体中での良好な分散条件は、様々な応用で、CNTの最大の可能性を実現し得る。通常、CNTは、ファンデルワールス相互作用、π-πスタッキング相互作用、および、疎水性相互作用のために、CNT単独では、水溶液中で分散することは難しい。界面活性剤の吸着、包み込み、表面機能化、および、剥離により、CNTは水溶液中で良く分散することもあり得る。しかしながら、界面活性剤が残留したり、高濃度の強酸を使用することが、実際の応用での実現可能性を妨げる。したがって、容易で高効率な分散方法が強く望まれる。

CNTを含む透明導電膜(CNT-TCF)により、可撓性の光電子工学デバイスおび生体電子工学デバイスを製造することができる。通常、CNT-TCFの製造方法は、乾式法と湿式法とに分けられる。乾式法では、浮遊触媒化学気相成長法(FCCVD)により気相内で製造されたCNTは、反応炉の下流でメンブレンフィルタを使用して流れをフィルタリングすることにより直接収集され、これによりCNTを損傷することがなく、高品質の膜を保つ。しかしながら、この方法は、CNTを反応炉内で凝集させずにメンブレンフィルタ上で薄膜に成形するため、反応炉内のCNTの濃度を低く保つ必要があり、結果、生産性が劣るという本質的な問題がある。一方で、CNTを反応炉内で高濃度に合成し、綿状の凝集体として多量に得る生産性の高い合成技術も実用化している。この既製のCNTの凝集体を用いる場合は、CNTを一旦分散する必要があり、湿式法が適用される。湿式法は、CNTの分散に続けて、膜を形成するための濾過またはコーティング、界面活性剤の除去、および、ドーピング処理を含む、いくつかのステップで構成される。この場合は、CNTの品質と収量のトレードオフが存在し、例えば、分散を強くするとCNT粉末からCNT膜への収率が増加する一方で、CNT膜への損傷も増加する。

本発明者らは、このトレードオフを克服するために、繰り返し分散-分取プロセスを提案した(非特許文献4)。CNTの分散剤の一つであるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)の水溶液にCNT粉末を添加し、軽い超音波処理(3分)によりCNT粉末の一部を分散し、遠心分離により上澄みのCNT分散液を分取し、沈殿物のCNT凝集体にSDBS水溶液を添加して再度分散にかける工程を13サイクル繰り返すことで、CNTの損傷を抑えつつCNTの凝集体から膜への高い転換効率(約90%)を達成している。しかしながら、この方法には後述するような問題が残されている。

産業上の利用分野

本発明は導電材、およびこれを利用した導電膜ならびに太陽電池に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
カーボンナノチューブ(CNT)とポリスチレンスルホン酸(PSS酸)との混合物を含む導電材。

【請求項2】
前記混合物中の硫黄(S)と炭素(C)の元素比(S/C比)が原子数比で0.001以上0.1以下である請求項1に記載の導電材。

【請求項3】
前記混合物中において、CNTとPSS酸とを合わせた含有率が10 wt%以上である請求項1または2に記載の導電材。

【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の導電材で構成され、CNTの面積載量が1 mg/m2以上10000 mg/m2以下である導電膜。

【請求項5】
請求項4に記載の導電膜を半導体表面に備える太陽電池。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2020039321thum.jpg
出願権利状態 公開
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