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多能性幹細胞由来腸管オルガノイドの作製法

国内特許コード P210017977
整理番号 (S2019-0035-N0)
掲載日 2021年11月30日
出願番号 特願2020-554968
出願日 令和元年10月31日(2019.10.31)
国際出願番号 JP2019042938
国際公開番号 WO2020091020
国際出願日 令和元年10月31日(2019.10.31)
国際公開日 令和2年5月7日(2020.5.7)
優先権データ
  • 特願2018-207108 (2018.11.2) JP
  • 特願2019-092336 (2019.5.15) JP
発明者
  • 松永 民秀
  • 岩尾 岳洋
  • 小野里 太智
  • 小川 勇
出願人
  • 公立大学法人名古屋市立大学
発明の名称 多能性幹細胞由来腸管オルガノイドの作製法
発明の概要 より生体小腸に近い特徴を有する腸管オルガノイドを多能性幹細胞から作製することを課題とする。(1)多能性幹細胞を内胚葉様細胞へと分化させる工程、(2)工程(1)で得られた内胚葉様細胞を腸管幹細胞様細胞へと分化させる工程、(3)工程(2)で得られた腸管幹細胞様細胞を、上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子、TGFβ受容体阻害剤、GSK-3β阻害剤及びROCK阻害剤の存在下で培養する工程、(4)工程(3)後の細胞を培養し、スフェロイドを形成させる工程、(5)工程(4)で形成されたスフェロイドを分化させ、腸管オルガノイドを形成させる工程であって、上皮成長因子、BMP阻害剤及びWntシグナル活性化剤の存在下での培養を含む工程によって、多能性幹細胞から腸管オルガノイドを作製する。また、工程(5)で形成された腸管オルガノイドを構成する細胞を、上皮成長因子及びTGFβ受容体阻害剤の存在下で平面培養し、平面培養系を作製する。平面培養の際、気液培養を利用し、絨毛構造を有する高機能な評価系の構築を図る。
従来技術、競合技術の概要

小腸は経口投与された医薬品の体内動態を考える上で非常に重要な臓器である。非臨床試験の段階においてヒト小腸における薬物の動態(吸収、排泄、代謝)を総合的に評価するためには初代小腸上皮細胞の利用が望ましいが、これは入手自体が困難である。近年、新規in vitro評価系として、腸管組織を模倣した3次元組織構造体(オルガノイド)が注目されている。腸管オルガノイドは、腸疾患の研究および治療のための重要なツールとして大きく期待されている。現在ヒト組織由来腸管オルガノイドが実験的に使用されているが、侵襲性が非常に高く、入手及び安定供給は非常に困難である。そこで、侵襲性が低く、疾患モデルとしても利用可能なヒト人工多能性幹(iPS)細胞由来腸管オルガノイドが注目されている。

また、ヒト以外の哺乳動物は疾患モデルや生物医学的研究に有用である。特に、創薬研究において実験動物として用いられるカニクイザルはヒトと非常に類似している点が多く、薬物代謝酵素やトランスポーターのアミノ酸配列は90~95%の相同性が認められ、基質特異性が類似している。そのため非臨床試験の段階において、カニクイザルを用いてin vivo並びにin vitroの相関性を確認することで、より正確にヒトを予測することが可能である。

ES細胞やiPS細胞から2次元(2D)培養で腸管上皮細胞を作製したこと(例えば特許文献1、2を参照)、及びマトリゲル等を利用した3次元(3D)培養で腸管オルガノイドを作製したこと(例えば、特許文献3、4、非特許文献1~4)が報告されている。

産業上の利用分野

本発明は多能性幹細胞由来の腸管オルガノイドを作製する方法及びその用途に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程(1)~(5)を含む、多能性幹細胞から腸管オルガノイドを作製する方法:
(1)多能性幹細胞を内胚葉様細胞へと分化させる工程;
(2)工程(1)で得られた内胚葉様細胞を腸管幹細胞様細胞へと分化させる工程;
(3)工程(2)で得られた腸管幹細胞様細胞を、上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子、TGFβ受容体阻害剤、GSK-3β阻害剤及びROCK阻害剤の存在下で培養する工程;
(4)工程(3)後の細胞を培養し、スフェロイドを形成させる工程;
(5)工程(4)で形成されたスフェロイドを分化させ、腸管オルガノイドを形成させる工程であって、上皮成長因子、BMP阻害剤及びWntシグナル活性化剤の存在下での培養を含む工程。

【請求項2】
基底膜成分をコートした培養面を用いて工程(3)の培養を行う、請求項1に記載の作製方法。

【請求項3】
前記基底膜成分がラミニン511又はそのE8断片である、請求項2に記載の作製方法。

【請求項4】
工程(3)において継代操作を行う、請求項1~3のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項5】
前記継代操作の回数が1回又は2回である、請求項4に記載の作製方法。

【請求項6】
線維芽細胞増殖因子がFGF2、FGF4又はFGF10であり、TGFβ受容体阻害剤がA-83-01であり、GSK-3β阻害剤がCHIR99021、SB216763、CHIR98014、TWS119、Tideglusib、SB415286、BIO、AZD2858、AZD1080、AR-A014418、TDZD-8、LY2090314、IM-12、Indirubin、Bikinin又は1-Azakenpaulloneであり、ROCK阻害剤がY-27632である、請求項1~5のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項7】
工程(3)の培養期間が2日間~14日間である、請求項1~6のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項8】
工程(4)の培養において、均一な形状及び大きさの複数のウェルが細胞低接着性又は細胞非接着性の培養面に形成された培養容器を使用し、複数のスフェロイドをまとめて形成させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項9】
水溶液中に3次元的網目構造を形成する材料を添加した液体培地を工程(5)の培養に用い、工程(4)で形成させた複数のスフェロイドがまとめて浮遊培養される、請求項1~8のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項10】
前記材料が高分子ゲル及び多糖からなる群より選択される一以上の材料である、請求項9に記載の作製方法。

【請求項11】
前記材料が脱アシル化ジェランガムを含む、請求項9に記載の作製方法。

【請求項12】
BMP阻害剤がNogginであり、Wntシグナル活性化剤がR-spondin-1である、請求項1~11のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項13】
工程(5)の培養期間が12日間~36日間である、請求項1~12のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項14】
工程(5)の培養を、上皮成長因子、BMP阻害剤及びWntシグナル活性化剤に加え、MEK1/2阻害剤、DNAメチル化阻害剤、TGFβ受容体阻害剤及びγ-セクレターゼ阻害剤の存在下で行う、請求項1~13のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項15】
工程(5)の培養を、上皮成長因子、BMP阻害剤及びWntシグナル活性化剤に加え、MEK1/2阻害剤、DNAメチル化阻害剤及びTGFβ受容体阻害剤の存在下で行う、請求項1~13のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項16】
前記多能性幹細胞が人工多能性幹細胞又は胚性幹細胞である、請求項1~15のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項17】
前記多能性幹細胞がヒト人工多能性幹細胞である、請求項1~15のいずれか一項に記載の作製方法。

【請求項18】
前記ヒト人工多能性幹細胞が、腸疾患の患者由来の人工多能性幹細胞である、請求項17に記載の作製方法。

【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の作製方法で得られた腸管オルガノイド。

【請求項20】
請求項19に記載の腸管オルガノイドを用いた、被検物質の体内動態又は毒性を評価する方法。

【請求項21】
前記体内動態が、代謝、吸収性、膜透過性、薬物相互作用、薬物代謝酵素の誘導、又は薬物トランスポーターの誘導である、請求項20に記載の評価方法。

【請求項22】
以下の工程(I)及び(II)を含む、請求項21に記載の方法:
(I)請求項19に記載の腸管オルガノイドに被検物質を接触させる工程;
(II)被検物質の代謝、吸収性、膜透過性、薬物相互作用、薬物代謝酵素の誘導、又は薬物トランスポーターの誘導、或いは毒性を測定・評価する工程。

【請求項23】
請求項1~17のいずれか一項に記載の作製方法で得られた腸管オルガノイドに腸疾患の病態を誘導することを特徴とする、腸疾患モデルの作製方法。

【請求項24】
請求項19に記載の腸管オルガノイドを含む、移植材料。

【請求項25】
以下の工程(1)~(6)を含む、多能性幹細胞から腸管細胞層を作製する方法:
(1)多能性幹細胞を内胚葉様細胞へと分化させる工程;
(2)工程(1)で得られた内胚葉様細胞を腸管幹細胞様細胞へと分化させる工程;
(3)工程(2)で得られた腸管幹細胞様細胞を、上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子、TGFβ受容体阻害剤、GSK-3β阻害剤及びROCK阻害剤の存在下で培養する工程;
(4)工程(3)後の細胞を培養し、スフェロイドを形成させる工程;
(5)工程(4)で形成されたスフェロイドを分化させ、腸管オルガノイドを形成させる工程であって、上皮成長因子、BMP阻害剤及びWntシグナル活性化剤の存在下での培養を含む工程;
(6)工程(5)で形成された腸管オルガノイドを構成する細胞を、上皮成長因子及びTGFβ受容体阻害剤の存在下で平面培養する工程。

【請求項26】
工程(6)の培養を、上皮成長因子及びTGFβ受容体阻害剤に加え、cAMP活性化物質の存在下で行う、請求項25に記載の作製方法。

【請求項27】
工程(6)の培養を、上皮成長因子及びTGFβ受容体阻害剤に加え、cAMP活性化物質とγ-セクレターゼ阻害剤の存在下で行う、請求項25に記載の作製方法。

【請求項28】
工程(6)の培養を、上皮成長因子及びTGFβ受容体阻害剤に加え、cAMP活性化物質とGSK-3β阻害剤の存在下で行う、請求項25に記載の作製方法。

【請求項29】
工程(6)の平面培養の少なくとも一部を気液培養にする、請求項25に記載の作製方法。

【請求項30】
前記気液培養を、上皮成長因子及びTGFβ受容体阻害剤に加え、cAMPシグナルを活性化する因子の存在下で行う、請求項29に記載の作製方法。

【請求項31】
前記因子がcAMP誘導体、cAMP分解酵素阻害剤又はcAMP活性化物質である、請求項30に記載の作製方法。

【請求項32】
前記因子がフォルスコリンである、請求項30に記載の作製方法。

【請求項33】
請求項25~32のいずれか一項に記載の方法で得られた腸管細胞層。

【請求項34】
請求項33に記載の腸管細胞層を用いた、被検物質の体内動態又は毒性を評価する方法。

【請求項35】
前記体内動態が、代謝、吸収性、膜透過性、薬物相互作用、薬物代謝酵素の誘導、又は薬物トランスポーターの誘導である、請求項34に記載の方法。

【請求項36】
以下の工程(i)~(iii)を含む、請求項34又は35に記載の方法:
(i)請求項33に記載の腸管細胞層を用意する工程;
(ii)前記腸管細胞層に被検物質を接触させる工程;
(iii)前記腸管細胞層を透過した被検物質を定量し、被検物質の代謝、吸収性、膜透過性、薬物相互作用、薬物代謝酵素の誘導、又は薬物トランスポーターの誘導、或いは毒性を評価する工程。

【請求項37】
以下の工程(I)及び(II)を含む、請求項34又は35に記載の方法:
(I)請求項33に記載の腸管細胞層に被検物質を接触させる工程;
(II)被検物質の代謝、吸収性、膜透過性、薬物相互作用、薬物代謝酵素の誘導、又は薬物トランスポーターの誘導、或いは毒性を測定・評価する工程。

【請求項38】
請求項25~32のいずれか一項に記載の作製方法で得られた腸管細胞層に腸疾患の病態を誘導することを特徴とする、腸疾患モデルの作製方法。
国際特許分類(IPC)
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