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疾患モデル

国内特許コード P210018004
整理番号 (S2019-0209-N0)
掲載日 2021年12月20日
出願番号 特願2020-569679
出願日 令和2年1月29日(2020.1.29)
国際出願番号 JP2020003159
国際公開番号 WO2020158794
国際出願日 令和2年1月29日(2020.1.29)
国際公開日 令和2年8月6日(2020.8.6)
優先権データ
  • 特願2019-014778 (2019.1.30) JP
発明者
  • 土谷 智史
  • 永安 武
  • 溝口 聡
出願人
  • 国立大学法人長崎大学
発明の名称 疾患モデル
発明の概要 本発明は、再細胞化された臓器又は組織にがん細胞又は線維芽細胞を導入する工程を含む、疾患モデルを製造する方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要

がんは、ヒトの死亡の主要な要因の1つである。がんの治療方法についての研究が積極的に進められてはいるが、5年生存率は依然として低く、例えば肺がんの場合、肺がん患者の5年生存率は15%程度に留まっている。近年、がんで発現する分子を標的とした抗がん剤の開発が進められており、その標的の1つとして、非小細胞肺がん(NSCLC)などの様々な悪性腫瘍で過剰発現が認められる、上皮成長因子受容体(EGFR)が着目されている。例えば、EGFRの活性化を引き起こすEGFRの変異を有するNSCLC患者に対し、EGFR阻害剤を投与することで抗腫瘍効果を有することが報告されてはいる。しかしながら、該遺伝子変異を有する患者数は少なく、また該遺伝子の二次的な変異により、がん細胞が薬剤耐性を有するとの問題も報告されている(例えば、非特許文献1)。従って、個々の患者に適した、がんなどの疾患を治療するための薬剤や薬剤の組み合わせを提供するために、多様性や耐性獲得のメカニズムを含む疾患の生物学的メカニズムの理解が不可欠であると考えられている(例えば、非特許文献2)。

線維症は、組織損傷や自己免疫反応等による線維組織の異常な蓄積が認められる疾患であり、ヒトにおいては、肺、肝臓、膵臓、腎臓、心臓、骨髄、皮膚などの様々な臓器や組織における線維化が知られている。原因が特定できる線維症は、その原因の除去や、ステロイド剤などの抗炎症剤の投与などにより治癒する場合が多い。一方、肺線維症や線維化を伴う間質性肺炎の治療には、一般的にステロイド剤や免疫抑制剤が用いられているが、予後を改善するような効果的な治療法は無いのが現状であり、新たな治療薬の開発が望まれている。

また、抗がん剤の開発において、第II相及び第III相の治験の後期での臨床的な失敗により、抗がん剤の開発が断念されるケースが多くみられる(例えば、非特許文献3)。この理由の1つとして、薬理効果を正確に予測できるモデルシステムの欠如が挙げられる。薬物に対するがんの応答は、組織特異的な微小環境を含む、いくつかの因子の複雑な相互作用、機械的刺激などにより影響されるが、これらの影響を、従来の二次元で培養された細胞で評価することは非常に困難である。従って、がんや線維症などの疾患の生物学的メカニズムの解明に有用であり、また疾患に対する治療効果をより正確に予測できる、疾患を再現したモデルシステム、特に三次元構造を有する疾患モデルの開発が望まれている。

ところで、移植医療分野において、脱細胞化した臓器骨格を、自己の細胞により再細胞化した再細胞化臓器に大きな期待が寄せられている。脱細胞化組織骨格は、動物及びヒトの組織や臓器から比較的容易に得られるため、医療用素材として実臨床で広く使用されている。医療用素材として、心臓血管外科の領域では、豚や牛由来の生体弁(HANCOK II(登録商標)、PERIMOUNT Magna(登録商標)、ヒト生体弁(Synegraft)(登録商標))などが用いられ、整形形成外科の領域では、ヒト由来皮膚(AlloDerm(登録商標))、豚小腸(OASIS(登録商標))、人工骨(AlloCraft C-Ring(登録商標))などが用いられている。臨床で使用されるこれらの医療用素材に「自己の細胞」を生着させると、理論上は、他種の臓器から自己の臓器が作製可能になる。自己の細胞などを生着させる方法として、臓器を脱細胞化上で、該臓器に自己の細胞を生着させて再細胞化臓器を作製する方法が報告されている(例えば、非特許文献4)。しかしながら、本発明者らが知る限りにおいて、再細胞化した臓器から疾患モデルを作製できたとの報告はなされていない。

産業上の利用分野

本発明は、疾患モデルの製造方法、及び該方法により製造された疾患モデル、並びに該モデルを用いた疾患の治療又は予防剤のスクリーニング方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
再細胞化された臓器又は組織にがん細胞又は線維芽細胞を導入する工程を含む、疾患モデルを製造する方法。

【請求項2】
前記臓器又は組織が肺又は肺組織である、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記がん細胞が肺がん細胞である、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
前記がん細胞が、A549細胞、PC-9細胞、H520細胞、H1975細胞、HCC827細胞及びPC-6細胞からなる群から選択される1種以上の細胞である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
前記再細胞化された肺又は肺組織が、脱細胞化された肺又は肺組織に上皮細胞及び内皮細胞を導入することにより製造された肺又は肺組織である、請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法により製造された疾患モデル。

【請求項7】
前記疾患モデルが肺疾患モデルである、請求項6に記載の疾患モデル。

【請求項8】
(1)請求項6又は7に記載の疾患モデルに被験物質を接触させる工程、及び
(2)該被験物質と接触させる前の疾患モデル又は該被験物質と接触させていない疾患モデルと比較して、該被験物質との接触によりがん細胞若しくは線維芽細胞の数が減少した、又は該細胞の増殖速度が低下した場合に、該被験物質を疾患の治療又は予防の候補物質として選別する工程
を含む、疾患の治療又は予防剤のスクリーニング方法。

【請求項9】
前記疾患が肺疾患である、請求項8に記載の方法。

【請求項10】
(1)請求項6又は7に記載の疾患モデルに被験物質を接触させる工程、及び
(2)該被験物質との接触による疾患モデルの損傷の程度を評価する工程
を含む、該被験物質の副作用の評価方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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