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NMRシグナル帰属支援システム

国内特許コード P03A000513
整理番号 U2001P152
掲載日 2003年8月28日
出願番号 特願2001-333904
公開番号 特開2003-139832
登録番号 特許第3607948号
出願日 平成13年10月31日(2001.10.31)
公開日 平成15年5月14日(2003.5.14)
登録日 平成16年10月22日(2004.10.22)
発明者
  • 稲垣 冬彦
  • 横地 政志
出願人
  • 国立大学法人 北海道大学
発明の名称 NMRシグナル帰属支援システム
発明の概要 【課題】NMRシグナルの正確な帰属を行うための支援システムの提供。
【解決手段】 アミノ酸配列のファイルを読み込むことで、この帰属の処理を開始している(S102)。このときに、ログ・ファイルも作成する(S104)。このログ・ファイルには、例えばボンド・コネクティビティの確立(S118),クラスタ・タグの作成(S122),フラグメントの帰属(S126)等の帰属のための操作を行うごとに、その操作により発行されるコマンドを格納している。これにより、帰属の操作過程は、一連の操作コマンド列として、ログ・ファイルに書き込まれる。帰属を修正した場合でも、修正を含めて帰属過程の全てのログを残すことにより、帰属過程を再現することができる。
従来技術、競合技術の概要


核磁気共鳴法(NMR)は、溶液中におけるタンパク質の原子レベルにおける静的・動的立体構造を決定できる唯一の分光法である。いまや、NMRによって決定されたタンパク質の立体構造をもとに、さまざまな生命現象を分子認識の観点から説明することが可能になり、NMRは構造生物学を支える重要な柱のひとつになった。



NMRを用いたタンパク質の立体構造解析の手順は以下のようになる。
(1)NMR測定
NMR測定には、1mM程度の水溶液(90%HO,10%DO)を400μl用いる。測定対象によっては不規則な会合体を形成して、試料溶液が白濁することもある。このような状態は、のちのNMR測定および解析に多大な障害をもたらすので、測定試料のpH、イオン強度などを変化させ至適測定条件を見つけだす。
(2)NMRシグナルの帰属
検出されたNMRシグナルがタンパク質中のどの原子核由来であるかを明らかにすることをNMRシグナルの帰属とよぶ。このステップはタンパク質の立体構造決定においてきわめて重要であり、慎重に行なうべきである。シグナル帰属法に関してはいくつかの2次元NMRをはじめとして3次元、4次元NMRスペクトルを使用する組織だった戦略が確立されている。
(3)構造情報の収集
NMRスペクトルの中には、核オーバーハウザ-効果(NOE)、スピン結合などタンパク質の構造決定に有用な情報が多数含まれている。NMRスペクトル多次元表示することにより、たとえばプロトン核間の距離情報を反映したNOE交差ピークを一望に鳥瞰することができ、シグナル帰属に基づき溶液中のタンパク質のプロトン間距離を見積もることができる。
(4)立体構造計算
3次元空間に存在する点の座標が与えられるならば、その座標からある2点間の距離を算出することは簡単なことである。ではこの逆、すなわち2点間の距離からそれぞれの点の3次元座標を求めることは可能であろうか?答えは’可’であり、ある立体を構成する点間の距離からそれぞれの点の座標を求める計算をディスタンス・ジオメトリー計算とよんでいる。したがって、NMRによるタンパク質の立体構造計算とは、ワークステーションを用いて、NOEから得られた距離情報などをもとにディスタンス・ジオメトリー法により立件構造を計算することである。X線結晶構造解析と異なり、NMRによるタンパク質の立体構造は近距離(5Å以内)情報の積み重ねにより決定されている。実際の計算に際しては、共有結合周りの回転角度である2面角に関する情報など、できるかぎりの構造情報を利用している。



NMR法は、水溶液におけるタンパク質の立体構造を明らかにできる点で、構造生物学の重要な解析手法である。この解析手法では、上述したように、シグナル帰属を正確に行うことが必要である。シグナル帰属では、主鎖のシグナル帰属、側鎖のシグナル帰属、距離情報を得るためのNOEの帰属と、10-20種類以上におよぶスペクトルを組み合わせて解析し、必要な情報を取り出すことが必要である。図1にその例を示す。
図1(a)に、66残基からなる2量体タンパク質の1次元スペクトルのアミドプロトン-芳香環領域を示す。数十のアミドプロトン・シグナルが重なり合い、解析はほとんど不可能である。同じ領域を1H-15N2次元HSQC(図1(b)参照)で観測すると、アミドプロトン・シグナルはアミド窒素の化学シフト軸に展開され、シグナルの縮重が軽減されることがわかる。さらに、図1(c)に示すように、3次元HNCOスペクトルでは、アミドプロトン(H)軸、アミド窒素(N)軸に加え、カルボニル炭素(CO)軸の導入によりシグナルの完全分離が達成される。
この帰属過程は複稚であり、スペクトルの組合せ等、研究者の経験や直感に依存する点が多い。従来の方法では、帰属のプロセスを振り返って変更したり、帰属に至る過程を他の研究者が再現することは困難である。

産業上の利用分野


本発明は、NMRによるタンパク質の立体構造の解析に関するものであり、特に、立体構造の解析に必要なNMRシグナルの帰属に対する支援システムに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも、アミノ酸配列、2次元スペクトル、複数の3次元スペクトルを用いて行うNMRシグナル帰属支援システムであって、
前記アミノ酸配列を記録しているアミノ酸配列記録手段及びタンパク質のスペクトルを記録しているスペクトル記録手段とを有し、
前記アミノ酸配列記録手段から、アミノ酸配列の読み込みを指示するアミノ酸配列読み込み指示入力手段と、
前記スペクトル記録手段から前記2次元及び3次元スペクトルの読み込みを指示するスペクトル読み込み指示入力手段と、
前記2次元スペクトルを表示する2次元スペクトル表示手段と、
前記2次元スペクトル表示手段に表示されたピークが指定されることで、対応する前記複数の3次元スペクトルを表示する3次元スペクトル表示手段と、
表示された前記2次元スペクトル又は前記3次元スペクトルを用いて前記ピークが帰属するボンド・コネクティビティを関連づけるボンド・コネクティビティの指示を入力するボンド・コネクティビティ指示入力手段と
前記ボンド・コネクティビティの原子型を指示する原子型指示入力手段と、
前記ボンド・コネクティビティの一意に連続したものをまとめてクラスタとし、アミノ酸配列の候補と前記作成されたクラスタとを、両者の関連性の確率を計算し、計算された確率により対応させて表示するクラスタ表示手段と、
表示された前記アミノ酸配列の候補と、前記クラスタの両者を関連づけるクラスタ帰属指示を入力するクラスタ帰属指示入力手段と、
前記クラスタに含まれないピークをフラグメントとして検出し、前記アミノ酸配列の候補と対応させて表示するフラグメント表示手段と、
表示された前記アミノ酸配列の候補と前記フラグメントの両者を関連づけるフラグメントの帰属の指示を入力するフラグメント帰属指示入力手段と、
前記入力された指示をコマンドとして、コマンド記録手段に帰属過程を記録するログ手段とを備え、
帰属の支援を行うとともに帰属過程を記録することを特徴とするNMRシグナル帰属支援システム。

【請求項2】
請求項に記載のNMRシグナル帰属支援システムにおいて、
さらに、前記コマンド記録手段に記録したコマンドを再度実行することにより、帰属過程を再現可能とするコマンド実行手段を備えることを特徴とするNMRシグナル帰属支援システム。

【請求項3】
請求項1又は2に記載のNMRシグナル帰属支援システムにおいて、
前記原子型指示入力手段は、予め設定したパターンを用いて自動的に原子型を帰属する自動帰属処理手段を含むことを特徴とするNMRシグナル帰属支援システム。

【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のNMRシグナル帰属支援システムにおいて、前記クラスタ表示手段は、前記アミノ酸配列の候補と前記作成されたクラスタとの関連性の確率を、化学シフトに依存した項とクラスタ両末端の化学シフトの同一性に関わる項から計算して表示することを特徴とするNMRシグナル帰属支援システム。

【請求項5】
請求項に記載のNMRシグナル帰属支援システムにおいて、前記クラスタ表示手段は、前記アミノ酸配列の候補と前記作成されたクラスタとの帰属指示が行われると、確率を計算し直して表示することを特徴とするNMRシグナル帰属支援システム。

【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のNMRシグナル帰属支援システムの機能をコンピュータ・システムに実現させるプログラム。

【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載のNMRシグナル帰属支援システムの機能をコンピュータ・システムに実現させるプログラムを記録した記録媒体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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